2002 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌撹乱物質の唾液腺癌の形態形質転換への影響と性ホルモン・VAレセプターの動態
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14370600
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
向後 隆男 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80001949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東野 史裕 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50301891)
飯塚 正 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (80168062)
進藤 正信 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (20162802)
高橋 茂 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (70241338)
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Keywords | 唾液腺萎縮 / 導管結紮 / 筋上皮細胞 / 増殖活性 / 唾液腺癌 / エストロジェン / 組織像の変異 / エストロジェンレセプター |
Research Abstract |
実験的検索 1.Wistarラット顎下腺のDMBA( 9,10,-dimethyl-1-,2-benzanthracene)投与後の初期変化は腺房の変性・消失、一部の導管の変性で、その後介在部や線条部の小導管の増殖が生じ、さらに、導管の一部は異型増殖を示し、後に腺癌の発生をみる。腺癌には筋上皮が関与することが多く、導管・腺房の萎縮の際の筋上皮細胞の増殖と分布を追究した。方法:顎下腺あるいは舌下腺の排出導管を結紮することにより唾液腺組織の萎縮を誘発させた。結紮期間を顎下腺は7日まで、舌下腺は1から28日とした。筋上皮のマーカーとしてアクチン、増殖のマーカーとしてPCNAを用い、免疫染色を行った。 結果:顎下腺では増殖導管細胞の細胞周期が短くなり、舌下腺では筋上皮細胞の分布は、萎縮の初期には小導管周囲にみられるが太い導管には認められず、後期には太い導管の辺縁にもみられた。筋上皮細胞の分布は萎縮中は変化した。PCNA陽性筋上皮細胞は正常な顎下腺と同様に萎縮顎下腺に認められたが、その標識率は低値であった。 2.ラットを用い、卵巣非摘出または卵巣摘出後に顎下腺にDMBAを投与、あるいはDMBA誘発腺癌発育後に卵巣摘出やtamoxifen投与行い、臨床的検索に準じて検索した。 結果:腺癌は雌に多発し、エストロジェン分泌を阻害すると腺癌から扁平上皮癌への移行がみられ、移行像を示す扁平上皮様組織像の部分では、導管の一部の壁の細胞が扁平上皮癌様細胞に形態変異を生じ、内腔に向かって突出し、全体像が扁平上皮癌を呈するに至る。その際、腺癌構成細胞のER発現細胞にアポトーシスがみられ、ER発現細胞は減少し、扁平上皮癌構成細胞にはERは殆ど消失するが、その後、扁平上皮癌構成細胞の一部にER発現細胞が認められるようになる。これらの変化には性ホルモンとレセプターの動態の関与が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Wataru Sakamoto: "Secretion of macrophage migration inhibitory factor differs from interleukin-6 in hydrogen peroxida-and LPS-stimulated human fibroblasts"International Immunopharmacology. 2. 1123-1131 (2002)
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[Publications] Atsuro Yokoyama: "Development of calcium phosphate cement using chitosan and citric acid for bone substitute materials"Biomaterials. 23. 1091-1101 (2002)
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[Publications] Ken-ichi Notani: "Mucinous adenocarcinoma of probable minor Salivary gland origin"Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod. 94. 738-740 (2002)
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[Publications] 上野尚雄: "舌扁平上皮がんにおける低酸素誘導性因子-1α(HIF1α)の発現と臨床病理学的悪性度との関連"北海道歯学雑誌. 23・2. 738-740 (2002)
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[Publications] Sigeru Takahashi: "Proliferation and distribution of myoepithelial cells during atrophy of the rat sublingual gland"J. Oral Pathol Med.. 32. 90-94 (2003)
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[Publications] 向後隆男: "口腔領域の扁平上皮癌の病態組織像の修飾"第91回日本病理学会総会教育講演 日病誌. 91・1. 143 (2002)