根尖性歯周疾患の病態機序の解明-樹状細胞の動態と免疫機能分子発現の解析-

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14370616
• Research Institution: Niigata University
• Principal Investigator: 興地 隆史 新潟大学, 歯学部附属病院, 教授 (80204098)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 大島 勇人 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70251824)
• Keywords: 根尖性歯周炎 / 免疫組織化学 / 超微形態 / 樹状細胞 / マクロファージ / MHCクラスII分子 / 免疫機能分子

Research Abstract

根尖性歯周疾患は、根管内細菌あるいはその産生物の侵襲に対して根尖部の歯周組織で営まれる生体防御反応をその本態とするものであり、免疫学的機序がその成立・進展あるいは慢性化に深く関与していることは疑いがない。一方樹状細胞は生体内で最も有力な抗原呈示細胞であり、この機能を通じて外来抗原刺激に対する免疫応答の発動、あるいは免疫応答の質の決定という重要な役割を演じる。樹状細胞の膜表面には様々な免疫機能分子が発現されることが知られているが、樹状細胞表面に発現される一連の免疫機能分子群は、樹状細胞・Tリンパ球間の相互作用(抗原提示)におけるTリンパ球への情報伝達に深く関与することが近年注目されている。
ところが根尖性歯周炎などの歯性炎症における樹状細胞の挙動については、従来ほとんど検索がなされていなかった。本研究は樹状細胞およびそれらが発現する免疫機能分子が根尖性歯周疾患の病態進行の過程に対してどのように関与しているかを、免疫組織化学的手法を用いて明らかにすることを目的とする。
本年度はラット臼歯を露髄させ開放のまま放置することにより誘発した実験的根尖性歯周炎を検索の対象として,樹状細胞マーカーに対する電顕免疫組織化学的検出法の確立をはかるとともに、これらを発現する細胞の局在・密度の経時的推移を検索した。すなわち、モノクローナル抗体OX6(抗MHCクラスII分子)、8A2(CD11c)、ED1(ライソゾーム系小器官を認識)、OX62(樹状細胞、γδT細胞を認識)に対する電顕検索を可能とし、併せて実験的根尖性歯周炎の拡大期ではマクロファージ様細胞が優位であるものの、これが慢性期へと移行するに従い、樹状細胞様の超微形態と細胞マーカーへの反応性を備えた細胞が優勢となることを見出した。

Research Products

• [Publications] 興地隆史: "結合素子としての歯髄"The Quintessence. 22. 135-144 (2003)
• [Publications] 金子友厚, 興地隆史, 須田英明, 高木実: "ラット実験的根尖性歯周炎における樹状細胞およびマクロファージの多様性に関する電顕免疫組織化学的研究"日本歯科保存学雑誌. (発表予定). (2003)