2002 Fiscal Year Annual Research Report
微生物に対する歯周組織の分子認識機構と補綴予後診断システムの開発
Project/Area Number |
14370636
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
二川 浩樹 広島大学, 歯学部附属病院, 講師 (10228140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 真弓 広島大学, 歯学部附属病院, 助手 (20346513)
安部倉 仁 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (30159454)
濱田 泰三 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50034244)
西村 正宏 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 助手 (00294570)
玉本 光弘 広島大学, 歯学部附属病院, 講師 (00136110)
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Keywords | 歯肉上皮細胞 / カンジダアルビカンス / 炎症性サイトカイン / 分子認識機構 / IL-8 / IL-1α / ICAM / αマンナン |
Research Abstract |
上皮細胞の自然免疫の反応として、molecular pattern recognitionと言う機構があり、微生物を認識後に、白血球遊走因子などを放出する。本研究では、歯肉上皮細胞においてグラム陰性桿菌の有するリポ多糖およびカンジダ菌体によって炎症性サイトカインの産生がどのような機構で行われるかについて検討を行い、その結果、以下の知見を得た。 1.歯肉上皮細胞は、カンジダ細胞と接触後、12時間以内では、接触させない細胞と有意差のない生存率を示した。 2.歯肉上皮細胞は、カンジダ細胞と接触後、数時間でIL-1α、さらに6時間後にIL-8を産生する。 3.このような歯肉上皮細胞による炎症性サイトカインの発現は、カンジダの生菌のみならず、カンジダの死菌によっても誘導され、その誘導は死菌の菌数依存的であった。 4.したがって、カンジダの菌体成分による炎症性サイトカインの誘導能の検討を行った結果、歯肉細胞は、αマンナンに対して炎症性のサイトカインを誘導したが、βグルカンに対しては、このような誘導は認められなかった。 さらに、歯肉上皮細胞に接種したカンジダの増殖過程を走査型電子顕微鏡で観察したところ、歯肉上皮細胞によってあたかもカンジダの菌糸体が捕らえられるような像が認められた。この状態が、いわゆるfocal adhesion様の状態と酷似していたため、以下の検討を行った。 1.免疫染色によって細胞間接着分子(ICAM)を染色した結果、細胞のみ培養した場合には、ICAMが細胞内にdiffuseな状態で存在しているが、カンジダを感染させた場合、ICAMがカンジダの菌糸体と接した部分に明確に集積する像が観察された。 2.リアルタイムPCRすなわち定量PCRを行った結果、カンジダの細胞およびその成分を添加した場合、歯肉上皮細胞は、IL-1α、IL-8およびICAMの発現が誘導された。 3.IL-1αによっても、ICAMおよびIL-8が誘導された。 4.さらに抗ICAM抗体でブロックを行った場合、IL-8の発現は抑制され、抗IL-1α抗体によってもIL-8の発現は抑制された。 5.抗ICAM抗体抗とIL-1α抗体を用いたWブロックアッセイの結果、ICAMによるIL-8の発現はIL-1αを介していない可能性が示唆された。
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