Research Abstract |
実験には家兎を用いた.ウレタン,α-クロラロース,ガラミンを投与し,気管切開した後,人工呼吸下で実験を行った.まず,延髄における刺激伝導部位の同定を試みるため,延髄に微少な破壊を加えた.家兎はbregmaがlambdaの10mm下方となるように固定し,延髄背側表面を露出させた.三叉神経電気刺激として,オトガイ神経または眼窩下神経に,頻度5Hz,強度20V,持続時間0.5msの矩形波を10秒間加え,血圧低下および心拍数減少が惹起されることを確認した後,リージョンジェネレータに接続した直径0.25mm,先端露出部0.25mmのブローベを用い,80℃にて60秒間通電し,創傷を作成した.延髄の破壊部位は吻側延髄腹外側部(RVLM)と尾側延髄腹外側部(CVLM)とした.RVLMでは,電極先端を吻側に15°傾け延髄に刺入し,最後野から吻側に1.0-2.0mm,正中から2.5-3.5mm,表面から深さ4.5-5.5mmの範囲で,CVLMでは,最後野の吻側縁から0.25-1.25mm尾側,正中より2.5-3.5mm側方,深さ2.5-3.5mmの範囲で,それぞれ0.5mm間隔で27ヶ所破壊した.破壊後三叉神経に電気刺激を加えたが循環の抑制は惹起されず,これらの領域は三叉神経から交感神経系への刺激伝導においては主要な経路となっていないことが示唆された. 次に,大動脈神経と三叉神経の同時刺激を行った.大動脈神経を,頻度25Hz,強度10V,持続時間0.25msで30〜40秒間,三叉神経刺激では眼窩下神経を頻度5Hz,強度10V,持続時間0.25msで10秒間刺激した.三叉神経単独の刺激では循環の抑制は短時間で消失するが,大動脈神経刺激下では,三叉神経刺激による循環抑制効果は遷延し,何らかの相互作用がある可能性が示唆された.
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