Research Abstract |
倫理委員会の承認をえ,平成15年3月より99m-Tc-フチン酸をtracerとする本研究を開始した。 対象は口腔扁平上皮癌TXN0症例で,再建手術の関係から予防的頸部郭清術を施行した9例で本研究を実施した.対象症例は舌癌3例,下顎歯肉癌3例,口底癌1例,頬粘膜癌2例で,T分類別ではT2 8例,T3 1例であった. 手術前日に原発巣周囲粘膜下4か所に99m-Tc-フチン酸40MBq(0.5ml)を分注し,5分後にearly phaseを,20分後にlate phaseのLymphoscintigraphyを撮像してセンチネルリンパ節を同定した.またこの時,planar imageと同時にSPECT像も撮像した.手術当日に,まず経皮的にγ-probeを用いてセンチネルリンパ節を確認,そして頸部郭清のはじめにγ-probeを用いてセンチネルリンパ節を同定,摘出し(In-vivo),手術を完結す.術後,切除標本においてもセンチネルリンパ節の残存の有無を確認(Ex-vivo)し,摘出・確認したセンチネルリンパ節をH-E染色,cytokeratin-19による免疫染色(IHC),cytokeratin-19 RT-PCR(RT-PCR)により癌転移の有無を検索,一方,郭清した非センチネルリンパ節もH-E染色により癌転移の有無を確認した. センチネルリンパ節の同定率は100%であり,症例当たり同定センチネルリンパ節数の平均はlymphoscintigraphyでは2.2個,In-vivoでは3.5個,Ex-vivoでは6.1個であり,他臓器癌で報告されているセンチネルリンパ節数より多かった. H-E染色では転移は4例,6個のリンパ節で確認したが,これらはいずれもセンチネルリンパ節であり,非センチネルリンパ節に転移は認められず,口腔癌においてもセンチネルリンパ節の概念を適応しうることが明らかになりつつある.またICHあるいはPCRのみで転移と診断された微小転移は3例あったが,このうち2例では,H-E染色で迷入唾液腺組織や甲状腺組織と診断され,IHCおよびPCRは転移診断のsensitivityは高いものの,specificityに多少の欠点を有していた. しかしIHCおよびPCRは微小転移を同定する上で必要不可欠な診断法である可能性が示唆された.
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