2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14370662
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
芝地 貴夫 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助手 (90323724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 一雄 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80134708)
鈴木 長明 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80014108)
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Keywords | イオントフォレーシス / AC / ニューロパシックペイン |
Research Abstract |
ファンクションジェネレーターを用いて正弦波、三角波、矩形波、パルス波を発生させ、アンプで増幅した電流を健常成人の前腕皮膚にソフトツボ電極(三共電子工業製)を介して通電した。痛みや不快感を覚えずに通電可能な最大電圧をそれぞれの波形間で比較し、パルス波の通電可能閾値が高いことが明らかになった。また、正弦波を通電した際にどのような種類の感覚が生じるかをMcGillの疼痛質問表を用いて被験者に選ばせた。10kHz以下の低周波数では電圧を上げるとピリピリした痛みを感じる被験者が多かったのに対し、100kHz以上の高周波数では熱感として刺激を認識する被験者が多かった。この事実と対応して、正弦波を通電した場合の通電可能最大電圧は10kHz以下の低周波数よりも100kHz以上の高周波数の方が高かった。この実験を通じて前腕皮膚に発赤、電気的火傷などの有害事象は1例も生じなかった。 電極は、顔面皮膚に貼付できること、薬液が蒸発しにくいこと、皮膚に対する為害作用がないことという条件を満たすために金属箔と綿花を用いて製作した。この電極を用いて、ニューロパシックペインを訴える患者(研究内容について十分な説明を行い、同意を得た)に対して、ACイオントフォレーシスを実施した。通電装置は医療機器としての認可を受けている低周波治療器であるLASPER(三共電子工業製)を用いた。波形は双方向のパルス波、繰り返し周波数は50Hz、通電時間は1時間とした。通電強度は患者が不快感を覚えない範囲で最大電圧を用いた。薬液は4%、塩酸リドカインを用いた。この治療の直後、殆どの患者は痛みが消失した、あるいは軽減したと述べた。また、効果の持続時間は薬剤の効果持続時間より長く、数時間から数日間であった。 以上のようにニューロパシックペインに対するACイオントフォレーシスによる治療システムが実働段階に至った。
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