2002 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺組織構築のシグナル伝達機構と唾液腺腫瘍の遺伝子治療
Project/Area Number |
14370669
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大倉 正也 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (10281130)
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Keywords | 唾液腺 / integrin / Src / 細胞分化 / 唾液腺腫瘍 |
Research Abstract |
HSG細胞にpcDNA3を発現ベクターとするwild-typeのc-Srcとdominant negativeのSrcK297Mを挿入し、HSG細胞にBglIIで一本化したプラスミドを挿入した。蛋白の発現はウエスタンブロットで確認し、Sre蛋白の発現が2-3倍のクローンを作成した。C-SrcあるいはSroK297Mを強発現する細胞の増殖や軟寒天中のコロニー形成能にはwild-typeと差はなかったが、SrcK297Mクローンは細胞接着能が低下し、さらにマトリゲルによる腺房細胞分化能を欠失していた。また、接着班ターゲットしたCskGFP-FAT、CskGFP-Pax、あるいはCskGFP-LIMを一過性に細胞に導入したところ、GFPを発現している細胞はマトリゲルによる腺房細胞分化を誘導されなかった。この腺房細胞分化に細胞間の結合が関わっているかどうかを検討するために、desmoplakin, ZO-1の発現について間接蛍光染色法を用いて検討した結果、分化した細胞においても両蛋白の細胞間発現は、非常にわずかであった。 正常のマウス顎下腺細胞の樹立を数回試みたが、細胞の初期培養は可能であったが、継代培養可能な細胞は得られかなった。細胞は比較的早期に分化するためであり、恐らく培地の組成を改良しなくてはいけない。 当教室で樹立したACC細胞以外に新たに今回mucoepidermoid carcinoma(high-grade malignancy)の細胞の樹立にも成功した。細胞生物学的検討により、細胞の由来を上記癌であることを確認した。驚いたことに、ACC細胞も、muco細胞もマトリゲルにより腺房細胞を誘導することが可態であった。唾液腺腫瘍の分化誘導療法の可態性が前進した。
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