2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14370687
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 信博 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (60183852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑 眞二 東北大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (20208507)
野田 忠 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究所, 教授 (00013970)
真柳 秀昭 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (60005098)
佐藤 拓一 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (10303132)
松山 順子 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究所, 助手 (30293236)
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Keywords | 糖アルコール / キシリトール / ミュータンスレンサ球菌 / 糖代謝阻害 / nested PCR / 16S ribosomal RNA / 菌種特異的PCRプライマー(8) |
Research Abstract |
初年度は、1.代謝阻害作用のある糖アルコールの検索を目的に各種糖アルコールのミュータンスレンサ球菌に対する糖代謝(酸産生)阻害効果を検討し、また、2.プラーク細菌叢のリアルタイムPCR法による定量分析を目的に各種プラーク細菌特異的PCRプライマーを作成した。 1.Streptococcus mutans NCTC10449 (Sm)を増殖、集菌、洗菌の後、菌懸濁液とし、これに60mMグルコースあるいは60mMグルコースに60mM糖アルコールを添加したものを加え、酸産生速度を測定した。糖アルコールは、キシリトール、ラクチトール、リビトール、アラビトール、マルチトールを用いた。なお、全ての実験は嫌気条件で行った。キシリトールはSmのグルコースからの酸産生速度を約40%低下させたが、他の糖アルコールは全く阻害しなかった。また、グルコースで増殖したSmはいずれの糖アルコールからも酸を産生しなかった。以上のことから、グルコースで増殖したSmの糖代謝(酸産生)を阻害するのはキシリトールであり、今回検討した他の糖アルコールには糖代謝阻害効果がないことが分かった。 2.16S ribosomal RNA geneに基づき、Streptococcus mutansを始めとする約30種のプラーク細菌の菌種特異的PCRプライマーを作成し、その菌種特異性を確認した。さらに、通常のPCR法では感度が低くプラークからの細菌検出が不十分になることを考慮し、16S ribosomal RNA geneをターゲットとしたユニバーサルプライマーでPCR増幅した後に特異的プライマーで検出するnested PCR法を検討した。その結果、nested PCR法によってプラーク中の細菌を高感度に検出できることが明らかになった。
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Research Products
(17 results)
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[Publications] 高橋 信博: "歯垢生態系への生化学的アプローチ"東北大歯誌. 21(1). 18-32 (2002)
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[Publications] 高橋 信博: "プラーク細菌への糖アルコール・インパクト"Dental Diamond. 27(10). 64-69 (2002)
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[Publications] Takahashi N: "Dipeptide utilization by periodontal pathogens, Porphyromonas gingivalis, Prevotella intermedia, Prevotella nigrescens and Fusobacterium nucelatum"Oral Microbiol Immunol. 17(1). 50-54 (2002)
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[Publications] Iwami Y: "Intracellular and extracellular pHs of Streptococcus mutans after addition of acids : loading and efflux of a fluorescent pH indicator in streptococcal cells"Oral Microbiol Immunol. 17(4). 239-244 (2002)
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[Publications] Tada H: "Proteolysis of CD14 on human gingival fibroblasts by arginine-specific cysteine proteases (Gingipains-R) from Porphyromonas gingivalis leading to down-regulation of lipopolysaccharide-induced Interleukin-8 production"Infect Immun. 70(6). 3304-3307 (2002)
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[Publications] 角田初恵: "ミュータンスレンサ球菌の各種糖質における増殖と酸産生に及ぼすキシリトールの影響"小児歯誌. 40(2). 308 (2002)
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[Publications] 岩見憙道: "キシリトールはStreptococcus mutansのホスホエノールピルビン酸依存性グルコース取込みを抑制する"歯基礎誌. 44(5). 461 (2002)
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[Publications] 前原裕子: "フッ素によるミュータンスレンサ球菌の糖代謝抑制効果はキシリトール併用により増強するか"歯基礎誌. 44(5). 462 (2002)
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[Publications] 多田浩之: "Porphyromonas gingivalis gingipainsによるヒト口腔上皮細胞のICAM-1分解"日本細菌学雑誌. 57(1). 159 (2002)
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[Publications] 加藤一夫: "nested PCRを利用した歯垢内の齲蝕関連菌の層別分布解析"口腔衛生会誌. 52(4). 568-569 (2002)
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[Publications] 山浦みゆき: "顎顔面領域の慢性感染病巣からのPCR法による細菌検出"歯基礎誌. 44(5). 464 (2002)
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[Publications] 真柳弦: "慢性辺縁性歯周炎病巣からの歯周炎関連細菌26菌種のnested PCR法による検出"歯基礎誌. 44(5). 464 (2002)
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[Publications] 松山順子: "小児歯垢中に存在するS. mutansとS. sobrinusのPCR法による検出頻度の各年齢層別の比較"歯基礎誌. 44(5). 467 (2002)
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[Publications] 佐藤拓一: "齲蝕及び歯周病関連細菌の16S rRNA genes nested PCR法による高感度検出"歯基礎誌. 44(5). 470 (2002)
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[Publications] 熊谷 崇: "歯垢中のmutans streptococciのPCR法による検出について"東北大歯誌. 22(1)(印刷中). (2003)
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[Publications] 菊地 吾郎: "一般医科学"南山堂. 391 (2002)
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[Publications] 高橋 信博: "砂糖と虫歯のサイエンス・ノンフィクション In:砂糖と健康の科学"砂糖を科学する会. 14 (2002)