2002 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー分散形螢光X線分析装置による歯科材料の異同識別法の開発
Project/Area Number |
14370702
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
網干 博文 日本大学, 歯学部, 講師 (60212560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小室 歳信 日本大学, 歯学部, 教授 (50139200)
高橋 登世子 日本大学, 歯学部, 助手 (50120499)
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Keywords | 物体検査 / 個人識別 / 異同識別 / 歯科法医学 / 歯科用陶材 / 蛍光X線分析 |
Research Abstract |
今年度は、簡便かつ迅速な元素分析による歯科修復材料の識別のための手法の確立を目的とした。 資料は、国内で大きなシェアーを持つA社の金属焼付け用陶材のなかから、表層付近で使用される材料14種類(エナメル陶材3種類、トランスルーセント陶材11種類)を選択した。分析結果の信頼性を高めるため、各種類ごとに規格化した円筒形の試験体(平均値:直径15.7mm、高さ3.4mm)を5個ずつ、計70個作製した。それぞれの試験体について、定性および定量分析を行ない、構成元素を検索するとともに、各元素の構成比について検討し、基礎データとした。つぎに技工所5ヵ所に今回分析したA社の陶材で陶材焼付け冠をそれぞれ1個ずつ作製を依頼(シェードのみ指定)し、その陶材表面の成分分析により異同識別が可能か否かについて検討した。なお、測定はエネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX900:島津製作所社製)により、電圧50Kv、電流は自動で行った。また、定量分析は検量線法で行い、検量用試料としてR1ソーダ石灰ガラス、R701長石、R802ろう石など5種類の標準試料を用いた。 その結果、検出された元素は、Si、Al、Ca、Mg、K、Na、Sb、Zr、Ce、Fe、Ti、S、P、Yの計14種であった。また、検出された元素の種類が異なる陶材は、2種のトランスルーセント陶材のみで、その他は同一であった。さらに、元素の構成比はSi(65〜67%)、Al(14〜15%)、Na、Kの順であり、陶材間で定量値に差が出現した元素はCe、PおよびZrであった。最後に、技工所5ヵ所でA社の陶材を用いて作製された陶材冠試験体の定性・定量分析を行ったところ、検出された元素の種類およびエネルギーのピーク位置はすべて合致し、いずれもA社のトランスルーセントと類似することが確認できた。
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