2002 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病における歯肉上皮細胞と免疫担当細胞の新たな調節相互作用
Project/Area Number |
14370712
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
和泉 雄一 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (60159803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町頭 三保 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (80253897)
松山 孝司 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (40253900)
山本 松男 鹿児島大学, 生命科学資源開発研究センター, 助教授 (50332896)
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Keywords | 歯周病 / 歯肉上皮細胞 / 破骨細胞分化因子 / 破骨細胞 / T細胞性免疫反応 |
Research Abstract |
破骨細胞分化は、破骨細胞分化因子(RANKL)によって誘導される。歯周病病態の特徴として炎症性病変と歯槽骨吸収があげられる。RANKLは、骨芽細胞・ストローマ細胞等の間葉系細胞による破骨細胞分化支持能を担う分子であると同時に、炎症性病変に浸潤するT細胞上に発現する。一方、RANKLシグナルはT細胞により産生されるIFN-γにより抑制されることからRANKLとIFN-γの作用のバランスによってT細胞性免疫反応の破骨細胞分化に及ぼす作用は決定されると考えられている。そこで、歯周病患者の炎症歯肉組織中におけるRANKL発現T細胞を共焦点レーザー顕微鏡を用いて検索したところ、その発現は患者間で異なる結果を示した。すなわち、RANKL陽性T細胞が多数みられるパターンとT細胞以外のRANKL陽性細胞が多数みられるパターンが観察された。このことは、炎症歯肉結合組織中においてT細胞が破骨細胞分化に関与している可能性が示唆されるとともに、T細胞以外のRANKL陽性細胞も関与していることが示唆された。次に炎症歯肉組織中T細胞が破骨前駆細胞から破骨細胞への分化を実際に促進するかどうかを検討するために、炎症歯肉組織からT細胞を分離、採取した後、フォルマリン固定を施し固定されたT細胞による破骨細胞形成能をTRAP染色により観察した。その結果、T細胞はTRAP染色陽性の多核破骨細胞の形成能を有していることが明らかになった。しかし、歯周炎患者の歯肉組織からIFN-Yが検出されるとの報告から、T細胞による破骨細胞分化機構はTh1・Th2のバランスに左右されるかもしれない。また、免疫染色所見からT細胞以外のRANKL陽性細胞も関与している可能性があることから、今後、T細胞以外のRANKL陽性細胞の同定や炎症歯肉組織でのTh1・Th2分化と破骨細胞分化の相関に関する検討を行っていきたいと考えている。
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