2004 Fiscal Year Annual Research Report
マレー域海洋生物由来アルカロイドをシーズとする新規制癌剤の開発を指向した創薬研究
Project/Area Number |
14370725
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Research Institution | Faculty of Pharmaceutical Sciences, Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
久保 陽徳 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (60097201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 直樹 明治薬科大学, 薬学部, 助教授 (80142545)
三上 襄 千葉大学, 真菌医学研究センター, 教授 (40092100)
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Keywords | 海洋天然物 / イソキノリンアルカロイド / 制癌剤 / エクチナサイジン / 脱N-メチル化 / エステル化 / 炭素繊維 / 養殖 |
Research Abstract |
前年度に海外共同研究者カニ博士が、プーケット島東南側パンワ岬沿岸で大量採取した群体ホヤEcteinascidia thurstoniのKCN前処理に続く抽出、分離・精製により得たecteinascidin 770(Et770)から様々なエステル誘導体へ変換した。その結果、約20個の誘導体を得ることに成功した。ここでは、Et770に存在する2つのフェノール性水酸基には反応性に大きな差があることを見いだした。本研究により得た各種エステル誘導体についてヒト実験腫瘍細胞に対する細胞毒性試験を実施した結果、一般に電子求引性置換基を持つ安息香酸エステルが強い活性を示すことを明らかにした。ところで、これまでに報告された本系天然物の中でN-CH_3が脱メチル化したEt729が最強の活性を示すことが知られている。そこで一般的な脱メチル化反応の開発を目指し、ABC環モデル化合物を用いて検討した。その結果、硝酸セリウムアンモニウム(CAN)による効果的手法を開発した。一方、タイ国の貴重な医薬資源である原海洋生物を恒久的に確保することは、さらに本研究を展開する面からも必須の課題である。実際、昨年のスマトラ沖地震による津波は周辺諸国の沿岸に生息する様々な海洋生物に甚大な被害を与えた。そこで、原海洋生物の養殖技術の獲得を目指して予備的研究を展開した。その結果、増殖に必要な指摘水温や日照時間などいくつかの条件を見出した。また、昨年に続きEt770の全合成研究も展開し、サフラマイシン型基本骨格の構築に成功した。現在さらなる展開を実施している。 さて、最近地球環境整備に関連する研究において水の浄化において炭素繊維が注目を集めている。特に海水中、炭素繊維に炭素粘性菌の付着を介して様々な動物プランクトンが付着し、ついにはホヤなどが付着する現象が報告されている。そこで、本研究において採集地に炭素繊維を吊して観察する実験を開始した。長期間の観察と調査が必要であり、残念ながら研究は未官性であるが、今後研究を継続する予定である。
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Research Products
(2 results)