2002 Fiscal Year Annual Research Report
インチューブ固相マイクロ抽出法を用いる薬毒物の全自動オンライン分析システムの開発
Project/Area Number |
14370729
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
片岡 洋行 岡山大学, 薬学部, 助教授 (80127555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早津 彦哉 就実女子大学, 文学部, 教授 (10012593)
吉良 尚平 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50033212)
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Keywords | 固相マイクロ抽出法 / キャピラリー濃縮 / 全自動オンライン分析 / 内分泌撹乱物質 / フタル酸エステル / 高速液体クロマトグラフィー / エストロゲン / 分子認識キャピラリー |
Research Abstract |
14年度は3年計画の初年度であり、薬毒物の中で最近特に環境汚染とその健康影響が問題となっている内分泌撹乱物質に焦点を絞り、インチューブ固相マイクロ抽出/高速液体クロマトグラフィー(インチューブSPME/HPLC)による全自動オンライン分析システムの開発を行い、以下の結果を得た。なお、キャピラリー電気泳動(CE)法との連結に付いては、CEの導入時期が遅かったため、次年度に向けて既存の方法を文献調査中である。 1.インチューブSPME/HPLCによるインフラボン類の分析法を開発した。抽出デバイスとしてSupel-Q PLOTキャヒラリーを用いてインチュブSPMEを行う時、最も効率よく抽出できた。ダイゼインおよびゲニステインは、XDB-C_8カラムを用い8分以内に分離分析でき、検出限界は0.41〜0.48ng/mLで、直接注入法に比べて24〜31倍の感度を示した。また、本法を用いて豆類およびその加工品を分析したところ、乾燥大豆から高濃度のイソフラボン類が検出されたが、小豆やソラ豆などにはほとんど含まれていなかった。 2.インチューブSPME/HPLCによるエストロゲンやフェノール類の分析法を開発した。抽出デバイスとしてSupel-Q PLOTキャピラリーを用いる時、エストロゲン、ビスフェノールA(BPA)、アルキルフェノールを効率よく抽出できた。これらの化合物は、XDB-C_8またはHypersil-ODSカラムを用い、電気化学検出器(ECD)によりいずれも検量線は0.5〜50ng/mLの範囲で良好な直線性が得られ、直接注入法に比べて14〜38倍の感度を示した。本法を用いて環境水試料を分析したところ、工場排水および河川水の2試料からBPAが検出された。 3.インチューブSPME/HPLC法により、輸液および液体医薬品中のフタル酸エステル類を分析した。プラスチック製容器中の輸液からフタル酸ジ-n-ブチル(DBP)が検出され、バッグやボトル容器の印字インクおよびラベル紙接着剤中のDBPがプラスチック容器を透過して輸液を汚染していることが明らかとなった。また、薬剤を添加した輸液をポリ塩化ビニル製の点滴用チューブに通したところ、フタル酸-2-エチルヘキシル(DEHP)の溶出量が増え、医薬品に用いられている溶剤がポリ塩化ビニルからのDEHP溶出を増強していることがわかった。 現在、キャピラリーの選択性を上げるために、エストロゲンを鋳型とした人工受容体キャピラリーや、銅フタロシアニンを固定化したブルーキャピラリーによる多環性芳香族化合物およびVOC濃縮法を開発中である。平成15年度はこれらの分子認識キャピラリーを用いたインチューブSPME法とHPLC、LC/MS、CEなどとのコンビネーションによるオンライン分析システムを構築し、様々な薬毒物のハイスループットな分析法を開発していく予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hiroyuki Kataoka: "Automated on-line in-tube solid-phase microextraction coupled with high performance liquid chromatography for the analysis of bisphenol A, akylphenols, and phthalate esters in foods contacted with plastics"Journal of Separation Science. 25(1-2). 77-85 (2002)
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[Publications] 片岡 洋行: "オンラインチューブ固相マイクロ抽出法とその応用(総説)"法中毒. 20(3). 251-267 (2002)
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[Publications] Hiroynki Kataoka: "Automated sample preparation using in-tube solid-phase microextraction and its application (Review)"Analytical and Bioanalytical Chememistry. 373(1-2). 31-45 (2002)
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[Publications] Kurie Mitani: "Determination of daidzein and genistein soybean foods by automated on-line in-tube solid-phase microextraction coupled with high performance liquid chromatography"Journal of Chromatography A. 968(2). 169-177 (2003)
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[Publications] 三谷 公里栄: "インチューブSPME/HPLCによる輸液中可塑剤の全自動オンライン分析"Chromatography. 23(Suppl). 75-76 (2002)
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[Publications] 大橋 泰浩: "人工エストロゲン受容体キャピラリーを用いる環境ホルモン類のインチューブSPME/HPLC"Chromatography. 23(Suppl). 77-78 (2002)
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[Publications] Janusz Pawliszyn: "Sampling and Sample Preparation for Field and Laboratory"Elsevier Science. 1131 (2002)