2002 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ技術を利用した新規なテーラーメイド型DDS開発の基礎的研究
Project/Area Number |
14370730
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
葛谷 昌之 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (10082984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹井 泰志 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (60336633)
近藤 伸一 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (90240944)
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Keywords | プラズマ表面処理 / テーラーメイド型DDS / 時間制御型DDS / 胃内浮遊型DDS / 架橋反応 / ラグタイム / 熱効果 / ガラス転移点 |
Research Abstract |
本研究は、個々の患者の生理条件に即して最適な生物学的利用度を持つ経口投与型DDSをプラズマ技術を利用して構築しようとするものである。本年度は、プラズマ技術を利用して様々なラグタイムを持つ遅延型速放錠(時間制御型DDS)および胃内浮遊型DDS(FDDS)を構築するための基礎的知見として、本DDS構築に適した高分子の選択と、その選定基準の確立を目指し検討を行った。 時間制御型DDSにおいては、一定時間後に外層が溶解あるいはバーストすることにより急速に薬物を放出する必要がある。プラズマ照射による外層の溶解性を制御するために、許認可の医薬品添加物の中からプラズマ架橋性を持ち、かつ腸溶性の基材を選択した。本研究では、Eudragit L100-55とEudragit RSPOを用いて検討した結果、これら医薬品添加物を外層高分子として単独で用いた場合は、十分なラグタイムが得られないことや速放性を示さないなどの問題があったが、両者を混合して用いることにより、プラズマ照射条件と相関を示しながら最長16時間までのラグタイムの制御可能であった。 また、FDDSに関しては、メチルビニルエーテル-マレイン酸共重合体(VEMAC)を外層とする二重錠剤にプラズマ照射を行うと錠剤が膨張し、水に浮遊することを見出した。各種機器スペクトルを用いて、プラズマ照射によるVEMACの膨張メカニズムについて検討した結果、プラズマ照射に伴う熱効果によりVEMACのビシナル位のカルボキシル基が脱水し、かつ熱効果により軟化して連続層となった錠剤表面およびバルク層が発生したガスの離散を阻害した結果、錠剤が膨張することを明らかにした。本知見より、プラズマ照射を利用したFDDS構築のために外層が具備すべき条件として、熱効果によるバルク層での分解ガスの発生、および表面とバルクの軟化による連続層の形成、さらにはプラズマ照射効果による表面架橋反応の併発が必要であることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Kuzuya, Y.Sasai, M.Mouri, S.Kondo: "Mechanically Amplified Plasma Processing for Drug Engineering"Thin Solid Films. 407. 144-150 (2002)
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[Publications] 近藤伸一, 伊藤幸祐, 笹井泰志, 葛谷昌之: "プラズマ照射した医薬品助剤を利用する新規なドラッグデリバリーシステムの開発-第10報 スチレン(無水)マレイン酸共重合体を外層高分子とした二重錠剤へのプラズマ照射によるテオフィリンの放出制御-"日本DDS学会誌. 17. 127-133 (2002)
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[Publications] M.Kuzuya, T.Nakagawa, S.Kondo, Y.Sasai, Y.Makita: "Preparation of Floating Drug Delivery System by Plasma Techniques"J.Photopolym.Sci.Technol.. 15. 331-334 (2002)
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[Publications] 葛谷昌之: "プラズマ技術を利用した製剤材料の基礎的研究"ファルマシア. 38. 1149-1151 (2002)
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[Publications] 葛谷昌之: "プラズマ法による薬物製剤化"化学と薬学の教室. 147. 27-32 (2002)