2004 Fiscal Year Annual Research Report
癌の中性子捕捉療法への適用を指向したナノ粒子の構造設計と製法の確立
Project/Area Number |
14370733
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
福森 義信 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (60102927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 秀喜 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (00248105)
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Keywords | 中性子捕捉療法 / 癌治療 / ガドリニウム / 薬物送達システム / ナノ粒子 / エマルション / キトサン / 薬物体内動態 |
Research Abstract |
1.ミセル様脂質ナノエマルション(Gd-nanoMIC)の開発-粒子径38nm, Gd濃度4.5mg/mLのGd-nanoMICを開発し,この2mLを静脈内へ連続投与することによって,1mLを2回繰り返し投与した場合に比べて有意に高い腫瘍内蓄積164μm/g wet tissueを達成した。これは,有効な治療を可能にするレベルであった。 2.キトサンナノパーティクル(Gd-nanoCP)の細胞内取り込み-異なる粒子径やGd含有率のGd-nanoCPsおよびB16F10メラノーマ細胞を用いて,培地中のGd-nanoCP量をGd濃度基準で0-60ppmにしたときのGdの細胞表面への付着・取込量の変化を評価した。濃厚なキトサン水溶液から調製した場合,粒子径は大きくGd含有率は低くなり,Gd濃度40ppmでの950、50、10kDaの各キトサンにおけるGd付着・取込量はそれぞれ17-21μg Gd/10^6 cellsであり、キトサンの分子量による明確な差はみられなかった。これに対して希薄なキトサン水溶液から調製した場合,粒子径が小さくGd含有率も高くなり,キトサンの分子量が減少するにつれて粒子径は減少し,Gd付着・取込量は著しく増加する傾向がみられた(それぞれ26、49、58μg Gd/10^6 cells)。 3.In vitro Gd-NCT試験-過去にin vovp NCT試験に用いたGd-nanoCPs-L^<2)>(分子量950kDa、320nm, Gd含有率7%)と今回の実験で細胞へのGd付着・取込量の最も高かったGd-nanoCPs-H(分子量10kDa、155nm, Gd含有率23%)を用いた。培養したB16F10細胞の殺傷効果を,京都大学原子炉実験所にて中性子照射をして評価した。Gd-nanoCPs-L(Gd濃度基準で40ppm)およびGd-nanoCPs-H(Gd濃度基準で15ppm)をそれぞれ細胞に暴露した場合の腫瘍細胞殺傷効果はほぼ同等であり、さらにGd-nanoCPs-H量をGd濃度基準で60ppmとした場合、腫瘍細胞殺傷効果は増強する傾向を示した。以上の結果から、低分子量キトサンを用いて粒子径を減少させ,Gd含有率を増加させることにより、従来タイプより高濃度でGdを細胞内・表面に局在化させることができ、これはGd-NCT効果の増強をもたらす可能性があることが分かった。
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Research Products
(2 results)