2003 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー代謝と細胞死の制御におけるミトコンドリアタンパク質の役割
Project/Area Number |
14370746
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
篠原 康雄 徳島大学, ゲノム機能研究センター, 教授 (60226157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 弘 東京理科大学, 薬学部, 教授 (00035544)
山崎 尚志 徳島大学, 薬学部, 助手 (20271083)
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Keywords | ミトコンドリア / エネルギー変換 / アポトーシス / シトクロムc / 透過性遷移 / 細胞死 |
Research Abstract |
ミトコンドリアは従来細胞内での主たるATP合成の場であると認識されており、その生理的役割はエネルギー変換であるとされてきた。しかし、最近の研究によってミトコンドリアからのシトクロムcの放出が細胞死のプロセスに深く関わっていることが明らかにされ、ミトコンドリアに細胞死の制御という新たな生理的機能が加えられた。 一般的には、ミトコンドリアに透過性遷移が誘導されると必ずシトクロムcが放出されることが知られており、Ca2+が典型的な透過性遷移の誘導剤として用いられている。しかし、透過性遷移とミトコンドリアからのシトクロムc放出の因果関係についてはまだほとんど明らかにされていない。本研究では、申請者らの見出した透過性遷移の誘導剤であるシアニン色素のミトコンドリアへの作用につき、シトクロムc放出という観点から解析を行った。 シアニン色素のうち、DiS-C3(5)はしばしばミトコンドリアの膜電位の測定に用いられるが、この色素もリン酸存在下においてCa2+と同様に、ミトコンドリアの透過性遷移を誘起した。しかし、誘起される透過性遷移は、Ca2+によって誘起された透過性遷移とは異なり、その阻害剤であるシクロスポリンに感受性のものと、非感受性のものがあることが判明した。また、シクロスポリン感受性、非感受性の透過性遷移のいずれもが、シトクロムc放出と密接に関係していることが明らかになった。また、Ca2+とは異なり、シアニン色素はリン酸非存在下でもミトコンドリアの膨潤を誘起したが、この作用はシトクロムcの放出とは無関係であることが判明した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Shinohara, M.R.Almofti, T.Yamamoto, T.Ishida, F.Kita, H.Kanazaki, M.Ohnishi, K.Yamashita, S.Shimizu, H.Terada: "Permeability transition-independent release of mitochondrial cytochrome c induced by valinomycin"Eur.J.Biochem.. 269. 5224-5230 (2002)
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[Publications] N.Yamazaki, Y.Yamanaka, Y.Hashimoto, T.Hiramatsu, Y.Shinohara, H.Terada: "The gene encoding muscle type carnitine palmitoyltransferase I : comparison of the 5'-upstream region of human and rodent genes"J.Biochem.. 133. 523-532 (2003)
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[Publications] K.Kajimoto, T.Daikoku, N.Yamazaki, H.Terada, Y.Shinohara: "Expression profiles of 3 isoforms of inositol (1,4,5)trisphosphate receptor in brown adipose tissue of the rat"Biochem.Pharmacol.. 65. 995-998 (2003)
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[Publications] M.R.Almofti, T.Ichikawa, K.Yamashita, H.Terada, Y.Shinohara: "Silver ion induces a cyclosporine A-insensitive permeability transition in rat liver mitochondria and release of apoptogenic cytochrome c"J.Biochem.. 134. 43-49 (2003)
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[Publications] K.Kajimoto, T.Daikoku, F.Kita, N.Yamazaki, M.Kataoka, Y.Baba, H.Terada, Y.Shinohara: "PCR-select subtraction for characterization of messages remarkably expressed in brown adipose tissue"Mol.Gen.Metabol.. 80. 255-261 (2003)