2004 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージの低酸素指向性を利用した低酸素細胞放射線増感剤の分子設計
Project/Area Number |
14370758
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
堀 均 徳島大学, 工学部, 教授 (90119008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永沢 秀子 徳島大学, 工学部, 助教授 (90207994)
宇都 義浩 徳島大学, 工学部, 助手 (20304553)
杣 源一郎 徳島文理大学, 健康科学研究所, 教授 (00158990)
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Keywords | 低酸素細胞放射線増感剤 / マクロファージ / 貪食活性 / GcMAF / TX-2068 |
Research Abstract |
本年度は,マクロファージ結合型低酸素細胞放射線増感剤として,高い放射線増感効果をもつTX-1877とマクロファージ結合性を持つN-アセチルガラクトサミンを1-β型で結合させたTX-2068を分子設計した.合成に関しては,N-アセチルガラクトサミンをアセチル化した後BF_3を触媒としてTX-1877と1-β選択的に反応させ,次いで脱保護してTX-2068を総収率35%で得た.TX-2068の水-オクタノール分配係数はP=0.0010であり,TX-1877のP=0.056と比較して非常に高い水溶性を示すことが分かった.TX-2068の低酸素細胞放射線増感活性に関しては,マウス乳腺癌細胞由来EMT6/KU細胞を用いた実験より増感比(ER)=1.88であり,TX-1877のER=1.75と比較してやや高い増感活性を有することが示された.TX-2068のマクロファージ活性化能に関しては,マウス腹腔内マクロファージを単離し,これにTX-2068を投与後オプソニン化SRBCに対する貪食能で評価した.その結果,TX-2068投与群は1mMまで濃度依存的に貪食活性が増加し,5mMで抑制が見られた.この挙動は免疫反応で一般的に見られるベルシャープ型の活性であり,TX-2068がマクロファージを活性化することを示唆している.また,TX-2068の細胞毒性に関しては,同じくマウス腹腔内マクロファージに対するMTT試験の結果から,5mMまで細胞毒性を示さないことが分かった.以上の結果より,TX-2068は低毒性でありマクロファージを活性化し,かつ低酸素細胞放射線増感活性を有する薬剤であることが示された.これにより,本研究目的である「マクロファージの低酸素指向性を利用した低酸素細胞放射線増感剤の分子設計」が達成できたと考えられる.
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Research Products
(6 results)