2004 Fiscal Year Annual Research Report
プレホスピタルケアにおけるメディカルコントロールと除細動に関する検討
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14370770
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平出 敦 京都大学, 医学研究科, 教授 (20199037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 壽 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90127241)
中西 範幸 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90207829)
行岡 秀和 大阪市立大学, 医学研究科, 助教授 (80117986)
中谷 壽男 関西医科大学, 救急医学科, 教授 (70188978)
富士原 彰 大阪医科大学, 救急医療部, 教授 (90084970)
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Keywords | 病院外心停止 / 除細動 / メディカルコントロール / プレホスピタルケア / 心室細動 / 心肺蘇生 / 救急救命士 / ウツタイン様式 |
Research Abstract |
本研究では、プレホスピタルケアにおけるメディカルコントロールに関して、最もその結果が重視される病院外心停止症例について、中でも心室細動症例に対する除細動に焦点をあて、分析を行った。そのために、ウツタイン様式という国際的に標準化されたフォーマットを用い地域網羅的に大阪府全体で、病院外心停止症例の記録集計をおこなった。そのデータは1998年以来、年々、集積しているが、特に転帰が明確になった最初の3年間のデータについて、検証を詳細に行うことができた。その結果は、Three year longitudinal study for out-of-hospital cardiac arrest in Osaka Prefectureとしてこの年度にResuscitaticon誌に掲載された。従来、虚脱から除細動までの時間と、救命率は直線的な関係にあるとされ、除細動までの時間が1分長くなると救命率は7-10%低下すると説明されてきた。しかし、今回の分析では、虚脱から除細動までの時間と救命率の関係は、決してそのように直線的なものではなく、除細動までの時問が6分を越えると、その救命率は急速に低下して、むしろ漸近線で近似されることを明らかにした。大阪では、救急隊による除細動までの時間は、年々有意に短縮していたが、1998年には15分近くまであったそのインターバルは、2000年には11分付近まで短縮した。このことは、非常に興味深いことであり、病院外心停止に関して救急隊の行為に関する記録を集計する事自体がドライブとなって、除細動時間の短縮につながったことを意味し、ひとつのメディカルコントロールとみなすことができる。これを掲載の論文ではいわゆる一種のホーソン効果として報告した。しかしながら、救命率が急速に改善する数分まで除細動までの時間が短縮することは困難であり、そのために救命率の改善にはつながらず、有意な結果に至らなかった。すなわち、除細動に関して、文字通りメディカルコントロールを発揮することができたものの、同時に、救急隊員に対するメディカルコントロールの限界を明らかにしたということができる。その結果、虚脱の際に居合わせた人(バイスタンダー)による除細動の必要性がこれにより、より明白に示されている。現在は、この結果を踏まえて、研究は、救急隊員が到着する前の、バイスタンダーによる除細動の検証に着手している。
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Research Products
(2 results)