2002 Fiscal Year Annual Research Report
臓器移植の薬理ゲノミクス研究に基づく合理的免疫抑制療法の開発
Project/Area Number |
14370787
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
谷川原 祐介 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30179832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 稔 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50197513)
島津 元秀 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70124948)
森田 邦彦 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (80327717)
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Keywords | 生体肝移植 / シクロスポリンA / CYP3A / 6β-水酸化コルチゾール / コルチゾール / 拒絶反応 / CYP3A5 / TaqMan PCR法 |
Research Abstract |
免疫抑制療法は移植医療の根幹をなすものであるが、現行の薬剤投与は経験則に基づいており、グラフト臓器に対する生体の免疫応答や免疫抑制剤の分子作用機構は十分に解明されていない。そこで本研究では、ゲノム薬理学、臨床薬理学、移植外科学を融合し、科学的な免疫抑制療法の確立をめざし、本年度はまず肝移植後の移植肝再生速度と薬物代謝能の経時変化の解析を目的とした。 生体部分肝移植が実施された7症例を対象に、シクロスポリンA(CyA)の血中濃度をモノクロナール抗体法で、またCyAとその代謝物も併せた血中濃度をポリクロナール抗体法で、それぞれ経日的に測定し、双方の測定法で得られた濃度の差からCyA代謝物生成の様相を推測した。その結果、代謝物の血中濃度は移植翌日から上昇し始め、CyA自体の濃度と同様、移植後3〜4日目には定常状態に到達する傾向が認められたことから、移植肝のCYP3Aは術直後から正常に活性を保持していることが示唆された。一方、従来よりCYP3A活性のマーカーとされてきた尿中の6β水酸化コルチゾール/内因性コルチゾール(6βOHF/F)比は、拒絶状態と診断された日の2〜3日前から急激に上昇し正常値の2倍以上に到達した後、回復する傾向にあったことから、尿中6βOHF/F比を拒絶反応の予知に活用できる可能性が示唆された。 近年、CyAやタクロリムスの代謝に関与するCYP3A活性を左右する因子としてCYP3A5遣伝子多型が注目されている。そこで、本年度はゲノム薬理学の観点からのアプローチとして、移植肝に含まれるCYP3A5の迅速な遺伝子診断を実施すべく、TaqManPCR法による診断法を確立した。本法によるCYP3A5^*3(6986A>G)の検出法は、アッセイ行程が少なく迅速性に優れ,多検体処理が可能であることから今後の臨床研究に寄与できるものと判断された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Tanigawara, et al.: "N-acetyltransferase2 genotype-related sulfapyridine acetylation and its adverse events"Bid Pharm. Bull. 25. 1058-1062 (2002)
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[Publications] T.Kakimoto, et al.: "Thalidomide for the treatment of refractory multiple myeloma: association of plasma concentrations of thalidomide and angiogenic growth factors with clinical outcome"Jpn. J Cancer Res.. 93. 1029-1036 (2002)
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[Publications] T.Sakaeda, et al.: "Simvastatin and lovastatin, but not pravastatin, interact with MDR1"J Pharm. Pharmacol.. 54. 419-423 (2002)
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[Publications] K.Takara, et al.: "Interaction of digoxin with antihypertensive drugs via MDR1"Life Sciences. 70. 1491-1500 (2002)
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[Publications] K.Takara, et al.: "Effects of 12 Ca^<2+> antagonists on multidrug resistance, MDR1-mediated transport and MDR1 mRNA expression"Eur. J. Pharm. Sci.. 16. 159-165 (2002)
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[Publications] M.Kakumoto, et al.: "MDR1-mediated interaction of digoxm with antiarrhythmic or antianginal drugs"Bid Pharm. Bull.. 25. 1604-1607 (2002)