2004 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における安全な入浴介護と水中運動療法のための基礎的研究
Project/Area Number |
14370805
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
樗木 晶子 九州大学, 医学部, 教授 (60216497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長弘 千恵 九州大学, 医学部, 教授 (00289498)
長家 智子 九州大学, 医学部, 助教授 (70207976)
堀田 昇 九州大学, 健康科学センター, 助教授 (00146797)
高杉 紳一郎 九州大学, 大学院・リハビリテーション部, 助手 (40253447)
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Keywords | 入浴 / 血行動態 / 高齢者 / 入浴介助 / 自覚症状 |
Research Abstract |
【経過】これまで本研究においては本学科及び健康科学センターの入浴施設を用いて高齢者の入浴時の生理学的循環動態の変化を検討してきた。本年度は、本学科と連携している訪問看護ステーションを介しこれまでの生理学的実験によって得られた成果を生かすため在宅高齢者の入浴の実態調査と入浴指導を行った。 【目的】在宅高齢者の入浴実態を調査し、安全な入浴を普及させることを研究の目的とした。 【対象】今回は言語障害や重度の痴呆のない高齢者で訪問入浴介助を受けている高齢者で調査協力の得られた男性37名(77.7±8.4才)と女性55名(81.8±8.2才)を対象とした。 【方法】夏冬の2回自由記入式で入浴自覚症状調査を行い、予備調査を施行した後、調査項目を決定し訪問看護師による入浴介助に同行して調査員が調査用紙に従って入浴前の自覚症状、入浴後の自覚症状、入浴方法、入浴前後の体温、脈拍、血圧などの計測、面接を行った。 【結果】平均浴室温は24.1℃、平均入浴時間は21.4分で男女差は無かったが、入湯時間は男性が長く、洗髪洗体行動は女性が長かった。入浴時間や洗体行動が長いほど入浴後の自覚症状得点が増加し、浴槽が浅いほど入浴後の自覚症状得点が低下した。体温は男性において入浴後上昇、脈拍は男女とも入浴後に上昇、血圧は男女とも入浴前後で有意差はなかった。女性では入浴後の体調と室温に負の相関が見られた。男性では入浴前の体調と入浴時間に正の相関が見られた。 【考察】訪問看護による入浴介助においては入浴により心拍の上昇はみたものの血圧上昇までは観察されておらず、比較的安全な条件で入浴介助が行われていることがわかった。自覚症状と生理的指標との間に強い相関が見られるものはなく、入浴介助の際に自覚症状が心肺負荷の指標とはなりにくいことが示唆された。このことは入浴介助の際に自覚症状に依存せず、少なくとも血圧、脈拍などの循環動態の指標を必ず計測しておく必要性があることがわかった。
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Research Products
(7 results)