Research Abstract |
この研究は,(1)青少年のドーピングに関する知識,意識,行動の実態や関連要因について明らかにすること,(2)指導者におけるドーピングに関する知識,意識等の実態を把握することを通じて,(3)ドーピング防止に向けた青少年向け教育プログラムの開発を試みることを目的とした。 平成16年度は,前年度のJADA加盟団体所属選手らと同じドーピングに対する意識調査を筑波大学体育専門学群生の学生に実施した。その結果,筑波大学体育専門学群生とJADA調査との比較検討から,今後の日本のアンチ・ドーピング教育の課題が引き出された。それによると,ドーピング観について,「いかなる状況下でも,競技力向上の薬物使用は間違っていると思う」と回答した学生が,JADA調査の選手らよりも相当に低く,アンチ・ドーピング意識が不完全であることが明らかになり,また,ドーピングに関する知識・情報が,大学生も日本代表選手らへの提供も全く不十分な状況が示された。今後,世界のアンチ・ドーピング活動がWADAを中心にますます活発化すると同時に,規則の改定,禁止薬物の追加・削除等の改訂も頻繁になることが想定される以上,最新のドーピング関連情報の伝達が不可欠であるし,無知によるドーピング違反は選手生命に響く重大な過失となる。未然に防ぐ方法がある以上,できる限り速やかに情報が届くシステムを策定する必要がある。特に,体育・スポーツ系の大学生に関しては,選手としてだけではなく将来の指導者としても,アンチ・ドーピングの意識レベルを向上させなければならない。教育機欄の責任として,「アンチ・ドーピング」といった授業科目を開設したり,教育課程の時間外の運動部活動においても,アンチ・ドーピングの啓蒙活動を積極的に実施,支援したりすることが必要であろう。
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