2002 Fiscal Year Annual Research Report
β2アゴニストおよび糖質コルチコイドによるエルゴジェニック効果の分子生理学的研究
Project/Area Number |
14380020
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
今泉 和彦 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (60145068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立屋敷 かおる 上越教育大学, 学校教育学部, 教授 (20119324)
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Keywords | ドーピング / エルゴジェニック効果 / β2アゴニスト / クレンブテロール / 糖質コルチチコイド / デキサメタゾン / ヘマトクリット / ラット |
Research Abstract |
β2アゴニストおよび糖質コルチコイドによるエルゴジェニック効果を系統的に明らかにするため、約8週齢Sprague-Dawley系雄性ラットに0.5mg/kg体重のクレンブテロール(Clenbuterol : CLE)および2mg/kg体重の合成糖質コルチコイドのデキサメタゾン(Dexamethasone : DEX)を頚背部皮下から投与し、血漿中のグルコース、総コレステロール、トリグリセライドの各濃度、およびヘマトクリット値を測定・解析した。対照ラットには0.9%NaCl溶液をそれぞれ当該量投与した。 1)CLE効果:血漿グルコース濃度は投与後0.5-4時問まで対照群の36-51%有意に高く、その後次第に低下したが8時間後でも対照群より14%有意に高かった。血漿総コレステロール濃度は投与後4時間から対照群に比べて18%有意に高くなり、8時問後では対照群より41%有意に高かった。逆に血漿トリグリセライド濃度は対照群より有意に低かった。細胞外液量の指標としたHt値は投与後4時間まで漸次有意に低下し、8時問までそのレベルが維持された。以上の結果より、CLEをラットに投与すると血漿中のグルコースの上昇とトリグリセライドの減少が明らかに認められ、暫くして総コレステロールレベルが上昇することから、CLE投与による血漿エネノレギー基質レベルの動員パターンは各々異なること、さらに細胞外液量が明らかに高まる可能性が示唆された。 2)DEX効果:血漿中のグルコースと総コレステロール濃度はCLE投与の影響と定性的に類似した結果が得られた。また、血漿トリセライド濃度は投与後4-8時間で対照群より42-56%も低かったが、34時間後にはほぼ投与レベルに戻った。一方、Ht値は投与後の変化が認められなかった。 以上より、CLEとDEXによる血漿エネルギー基質レベルへの応答はほぼ類似しているが、Ht値からみた細胞外液量への応答はCLEのみで認められ、DEXでは認められないことが明らかにされた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Adachi S, Tachiyashiki K, Yokoo Y, Imaizumi K.: "β2-agonist, clenbuterol-induced changes of plasma energy substrate levels and extracellular fluid volume in rats"Japanese Journal of Physiology. 52(Suppl.). S214 (2002)
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[Publications] Yokoo Y, Tachiyashiki K, Imaizumi K: "Whole body suspension-induced changes of muscle lysosomal cathepsin B and J activities and dipeptide levels in rats"Japanese Journal of Physiology. 52(Suppl.). S214 (2002)
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[Publications] Tachiyashiki K, Imaizumi K: "In vivo effect of dexamethasone on plasma glucose and total cholesterol concentrations, and hematocrit levels in rats"Japanese Journal of Physiology. 52(Suppl.). S215 (2002)
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[Publications] Imaizumi K., Tachiyashiki K: "Effects of hypophysectomy on β2-agonist, clenbuterol-induced changes of skeletal muscle mass in rats"Japanese Journal of Physiology. 52(Suppl.). S215 (2002)
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[Publications] 今泉和彦, 安達芝幸, 横尾保年, 立屋敷かおる: "β2-agonist, clenbuterolによるラット血漿エネルギー基質レベルの応答変化"体力科学. 51巻6号. 801 (2002)
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[Publications] 河野珠江, 立屋敷かおる, 安達芝幸, 今泉和彦: "下垂体除去およびdexamethasone処理ラットの骨格筋サイズに対するβ2-agonist, clenbuterolの影響"体力科学. 51巻6号. 578 (2002)
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[Publications] Nose H, Spriet LL, Imaizumi K: "Exercise, Nutrition, and Environmental Stress Volume 2"Cooper Publishing Group, LLC, Traverse City, MI, USA. 275 (2002)