2003 Fiscal Year Annual Research Report
β2アゴニストおよび糖質コルチコイドによるエルゴジェニック効果の分子生理学的研究
Project/Area Number |
14380020
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
今泉 和彦 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (60145068)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立屋敷 かおる 上越教育大学, 学校教育学部, 教授 (31150378)
|
Keywords | β2アゴニスト / クレンブテロール / 血漿インスリン / 血漿サイクリックAMP / 血漿エネルギー基質 / 脂肪分解 / グリコーゲン分解 / ラット |
Research Abstract |
β2アゴニストのクレンブテロール(Clenbuterol : CLE)をラットに投与したとき、血漿中のグルコース、トリグリセライド、総コレステロール、インスリン、サイクリックAMPの各濃度および血漿容量比(=全血液量に対する血漿量の比:細胞外液量の指標)がどのように変化するかを検討した。その結果、以下の知見を得た。 1.骨格筋のタンパク質合成が促進されて骨格筋が肥大する投与量(=0.5mg/kg体重)でCLEを投与したとき、血漿中のグルコースとトリグリセライドの各濃度は有意に上昇し、10時間後には元に戻った。また、血漿中総コレステロールは投与後4時間より次第に上昇し、10時間後でも著明に高く、その応答変化は他の二種類のエネルギー基質レベルとは大きく異なっていた。血漿容量比は投与後から次第に高くなり、10時間後でも著明に高かった。 2.CLEの投与量を変えてラットに投与したとき、血漿中のグルコース、トリグリセライド、総コレステロールの各濃度および血漿容量比は投与量(dose=0,10,50,500μg/kg体重)にほぼ比例して上昇し、明らかな量-応答関係があった。 3.CLE(=1.0mg/kg体重)をラットに投与したとき、インスリン濃度は投与後1時間で約8倍、2時間で約4倍対照より有意に高く、血漿グルコース濃度の変動とほぼ並行した。一方、血漿中のサイクリックAMP濃度には変動がみられなかった。したがって、サイクリックAMP濃度は血漿中には遊離しないものと推定される。 以上の結果は、CLE投与によりグリコーゲンとトリグリセライドが分解し、その後にコレステロールレベルが上昇すること、血漿グルコース濃度の変動とほぼ並行してインスリンレベルが変動すること、細胞外液量を増加させることが示唆する。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Tanihata J, Tachiyashiki K, Imaizumi K, et al.: "In vivo effect of synthesized glucocorticoid, dexamethasone on plasma energy substrate levels in rats."Japanese Journal of Physiology. 54:Suppl.(In press). (2004)
-
[Publications] Adachi S, Tachiyashiki K, Imaizumi K, et al.: "Effects of β_2-agonist, clenbuterol on plasma energy substrate, insulin and cyclic AMP levels in rats."Japanese Journal of Physiology. 54:Suppl.(In press). (2004)
-
[Publications] Motohashi N, Tachiyashiki K, Imaizumi K, et al.: "In vivo effect of hydrocortisone on energy substrate levels in rats."Japanese Journal of Physiology. 54:Suppl.(In press). (2004)
-
[Publications] 本橋紀夫, 立屋敷かおる, 今泉和彦, 他: "グルココルチコイド投与と身体懸垂による骨格筋dipeptideレベルの応答特性"体力科学. 52・6. 839 (2003)
-
[Publications] 安達芝幸, 立屋敷かおる, 今泉和彦, 他: "β_2アゴニスト投与によるラット血漿内エネルギー基質レベルの量-応答特性"体力科学. 52・6. 918 (2003)
-
[Publications] 谷端淳, 立屋敷かおる, 今泉和彦, 他: "グルココルチコイドによるラット血漿内エネルギー基質レベルの変動"体力科学. 52・6. 922 (2003)