2002 Fiscal Year Annual Research Report
加熱前処理による植物性食品の硬さの制御 -冷凍・予備加熱処理の新規利用-
Project/Area Number |
14380042
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
香西 みどり お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (10262354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑江 敬子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (50156337)
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Keywords | 冷凍処理 / 野菜 / 物性 / ドリップ / アスコルビン酸 |
Research Abstract |
野菜を短時間で冷凍処理することにより物性および化学成分がどのように変化し、.保存を目的としない調理加工への応用可能性について検討した。試料としてダイコン(1cm×1cm×1cm)およびキャベツ(1.5cm×1.5cm)を用い、フリーザーバックにいれ、-5、-10、-20℃の各温度で0,2,15h冷凍処理し、20℃で1または4h解凍した後、成分および物性を測定した。その結果、色調は冷凍処理により明度が低下し、透明感が増し、ゆでたような外観になった。レオナーによる物性測定では冷凍処理により破断荷重と破断距離が低下、しんなりとした漬物様の食感になった。これらの結果は冷凍温度、時間に依存しなかった。ドリップ量はいずれの温度も2h冷凍、1h解凍が最も少なく、冷凍時間と解凍時間が短いほどドリップ量が少なかった。HPLCによるアスコルビン酸量の測定結果は-5℃における残存総アスコルビン酸量が最も多く、特に2h冷凍、1h解凍のものが多かった。還元型アスコルビン酸量の割合が最も高いのが-5℃における2h冷凍、1h解凍であった。一方、-20℃ではすべての条件において還元型アスコルビン酸が存在しておらず、特に15h冷凍、4h解凍の総アスコルビン酸量が最も少なかった。カリウムイオンは-5℃群の浸出量が最も少なく、アスコルビン酸同様2h冷凍、1h解凍のものが最も残存量が多かった。以上の結果より、短時間冷凍処理の影響は-5℃が最も小さく、-5℃で2h冷凍後、1h解凍したものは生と冷凍処理の中間的な位置づけにあり、特にアスコルビン酸量の残存は-5℃においてのみみられた。このことから冷凍処理により漬物様のテクスチャーが得られつつ、アスコルビン酸の保持が期待できる温度として-5℃が効果的であるといえる。
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