高齢者の食生活における危機管理能力に関する味とにおいの感覚の感度測定

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14380043
• Research Institution: Ochanomizu University
• Principal Investigator: 畑江 敬子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (50156337)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 戸田 貞子 高崎健康福祉大学短期大学部, 生活学科, 教授 (90341792) ; 香西 みどり お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (10262354)
• Keywords: 高齢者 / 味の閾値 / 塩味 / 甘味 / 酸味 / 官能検査 / においの閾値

Research Abstract

われわれは保存した食物の安全性を確認したり、食べられるか否かの判断をする際に、しばしば味やにおいを手がかりにする。苦味、および、酸味はそれぞれたんぱく質およびでんぷんの腐敗のシグナルである。また、変敗臭や幽かな異臭も変質や腐敗のシグナルである。高齢者はこのような判断の機能がどの程度保持されているかについては、明確なデータは得られていない。そこで、65才以上の高齢者延べ248名の協力を得て、いくつかの味の閾値、ならびに腐敗のシグナルとなるにおいの閾値を官能検査によってしらべ、20才前後の若年者のべ127名と比較した。塩味についてはNaCl水溶液(0.584-31.70mM、8段階)、甘味についてはスクロース水溶液(1.78-56.40mM、7段階)、酸味についてはクエン酸水溶液(0.0178-0.3170mM、6段階)を用い水を対照として、濃度上昇法による、二点比較法でしらべた。官能検査は濃度を上昇あるいは下降させパネリストが3回正答するまでくりかえし、3回正答した濃度を検知閾値とした。さらに濃度を上昇させて、何の味か分かった濃度を認知閾値とした。その結果、塩味の検知閾値と認知閾値、および甘味の検知閾値には高齢者と若年者との間に有意の差(p<0.05)があり、高齢者は感度が低下していることがわかった。酸味の検知閾値と認知閾値には性差がみられ、女性の方が閾値が低かった。
においの閾値については、魚、野菜、飯の腐敗のシグナルと考えられる、トリメチルアミン、メチルメルカプタン、酢酸の濃度を変化させて、水と区別出来る最小濃度を閾値とした。現在予備実験を終了したところである。