2004 Fiscal Year Annual Research Report
授乳後の骨密度回復に及ぼす食生活、生活習慣の影響-介入研究
Project/Area Number |
14380044
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
米山 京子 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (30079743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 順子 京都文教短期大学, 家政学部, 教授 (30076880)
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Keywords | 骨密度 / 授乳 / 超音波骨密度測定 / カルシウム栄養 / 食生活 / 離乳 / 母乳栄養 |
Research Abstract |
今年度はこれまでの数年間のデータを基に論文を作成し公表した。概要を示す。 目的 食事からのカルシウム(Ca)摂取量の増大は長期授乳婦の骨密度低下を阻止し得るか、また、長期授乳により低下した骨密度の回復について、骨代謝を考慮して検討する。 方法 1年間以上の授乳婦について、授乳中のCa摂取量を食事指導により増大させた群(M群)と授乳中に乳・乳製品を殆ど摂取しなかった群(N群)、および非授乳群(C群)について、超音波法による骨密度測定および尿、血液中の骨代謝指標の測定を行い、それらの変化を比較検討した。 結果 1.M群のCa摂取量は平均1032mg/日で、日本人の授乳婦の栄養所要量に較べ幾分少なかった。 2.骨密度変化のパターンは3群間で有意に異なり、1年後にN群では有意に低下(-8.0%)、C群では有意に上昇したが、M群では有意な変化は認められなかった。開始時の骨密度値および出産回数を考慮して、1年後の骨密度変化率は3群間およびM, N群間で有意であった。 3.1年半後の骨密度変化率は3群間で有意差は認められなかった。 4.M群では開始時および半年後の尿中Hydroxyproline/CreatinineはN群より有意に低く、1年後の尿中Calcium/Creatinineは有意に高かったが、C群とは両指標とも有意差は認められなかった。 5.M群では1年後までの血清中Bone alkaline phosphataseはC群の半年後の値に較べ有意に高く、1年後までのOsteocalcinも高い傾向であった。 結論 授乳に対してCa摂取量が充足されれば、1年以上の長期授乳でも骨密度低下は見られない。長期授乳により骨密度が低下した場合も平均的には離乳後半年で開始時まで回復するが、授乳期間中の骨密度の極端な低下は母児双方にとって好ましくない。
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