Research Abstract |
近年,インターネットを利用した協調活動が日常的に行われるようになり,コンピュータを用いた協調学習の支援が期待されている.特に,教育・学習においては,インターネット上での協調学習(CSCL : Computer Supported Collaboration System)が新しい学習形態として注目を集めている.そして,協調学習を支援するための基盤システムや様々なツールが開発されている.また学校教育においても,協調学習を取り入れた授業が行われるようになっている.しかしながら,協調学習を取り入れた授業は,従来の集合的な授業と比較し,教育現場の教師に高度な授業設計能力を求める.そのため,協調学習による教育・学習の必要性や重要性が認知されながらも,実際の授業では,円滑に進める事が困難となっている. 本科研の目的は,協調学習を意図したLearning Entityのメタデータ化(CLEM : Collaborative Learning Entity Metadata)とその参照モデルによる知識・共有の具体化になる.そして,メタデータ付けされた協調学習事例から構成される事例ベースシステムの構築・運用を通じて,教師の協調学習環境の設計や指導に関する教育的知識の抽出を試みる.CLEMに基づく協調学習事例ベースシステムは,事例管理のみならず,対話的事例検索の機能を提供する事によって,教師の協調学習の設計・実践・評価等に関する知識の共有と再利用を可能にする. 今年度は,(1)協調学習事例の収集,(2)協調学習事例ベースシステムの実装を行った.前者においては,各教育機関(特に,初等中等教育機関)に実地調査し,協調学習事例(サンプル)を収集した.そして,昨年度の研究成果であるCLEMに基づき協調学習事例を記述した.(2)においては,事例ベースシステムの基本モジュールとなる"事例登録","事例検索","事例修正","事例修復"の4つのモジュールを設計し,実装した.また,事例ベースシステムは,通常のデータベースシステムと異なる,事例の検索から解の導出(事例の提示)まで計算コストが高くなる.本科研では,事例ベースシステムを負荷分散する仕組みを提案し,導入した.本年度の成果は,次のように纏められる. ・協調学習事例の収集とCLEMによる表現 ・協調学習事例ベースシステムの設計・実装 ・協調学習事例ベースシステムの運用
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