2003 Fiscal Year Annual Research Report
テクスト理解と学習 -テクストの言語の特徴が理解と記憶に与える効果について-
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14380119
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
堀場 裕紀江 神田外語大学, 言語科学研究科・言語科学研究センター, 助教授 (40316831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 美代子 神田外語大学, 言語科学研究科・言語科学研究センター, 助教授・研究員 (00364927)
長谷川 信子 神田外語大学, 言語科学研究科・言語科学研究センター, 教授・センター長 (20208490)
井上 和子 神田外語大学, 言語科学研究科・言語科学研究センター, 名誉教授顧問 (10052193)
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Keywords | テクスト理解 / 日本語 / ディスコースの情報構造 / 言語理論 / 言語運用 / 英語 / 文法 / 言語テスト |
Research Abstract |
テクスト理解と学習に関わる言語の役割を解明するにあたり、今年度は、前年度からの研究の続きを行うと共に、新しいトピックや方法も取り入れて研究活動を進めた。 言語運用の観点からは、日本語の説明文読解におけるテクストの一貫性と文法・語彙の知織の効果について、中国語話者と英語話者および日本語母語話者を対象に実証研究を行った。また、日本語文法テストに用いる文脈文の複雑さに焦点をあてて、特定の言語項目の理解に及ぼすインプットの効果について検証した。英語・日本語の読解におけるタスク指示の効果を検証した研究については、その結果を発表した。(堀場)英語テストの妥当性に関する研究では、読解テストの問題の特徴をテストに用いるテクストとの関連から調べてその結果を発表した。また、スピーキングテストにおける発話量と成績との関係について検証した。(小林)文理解における言語処理と概念処理の関係を作業記憶と語彙・文法知識の効果に焦点をあてて検証した研究については、その結果を発表し、オンライン研究に発展させるため計画をたて言語テスト・作業記憶テスト・読解テストをプログラム化した。(ハリントン・堀場) 言語理論の観点からは、日本語の話し言葉・書き言葉の間で相違が見られる文法プロセスとして、右方移動現象(動詞の後ろに動詞と関わる要素が出現する現象)と省略現象に焦点をあてて研究を進めた。省略については、1人称の省略プロセスが「状況から復元可能な情報」という会話機能の観点では説明のつかない文構造のあり方と深く関わるものであることを明らかにした。右方移動現象は、主題(トピック)提示機能を持つ文の左に現れる「主題化」や、語順変換をもたらす「かき混ぜ現象」との比較で昨年度からの考察を更に深めた。(長谷川)主題については、右方移動だけでなく省略とも関わり、特定の条件節のみに主題の提示や変換の機能があることを明らかにした。(井上)
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Research Products
(18 results)
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[Publications] 堀場 裕紀江(共著): "第2言語としての日本語の語彙と文法の習待-中国語話者と英語話者の比較-"平成15年度日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)(2)研究成果報告書「テクスト理解と学習」代表者:堀場 裕紀江. 1-13 (2004)
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[Publications] 堀場 裕紀江(共著): "日本語説明文のテクストの一貫性が理解に及ぼす効果"平成15年度日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)(2)研究成果報告書「テクスト理解と学習」代表者:堀場 裕紀江. 15-23 (2004)
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[Publications] 堀場 裕紀江(共著): "文脈文の複雑さが文法項目の理解に及ぼす影響"平成15年度日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)(2)研究成果報告書「テクスト理解と学習」代表者:堀場 裕紀江. 25-31 (2004)
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[Publications] Horiba, Yukie: "Reading in Japanese as a Second Language"Handbook of Japanese Psycholinguistics (Cambridge University Press). (印刷中). (2004)
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[Publications] Horiba, Yukie: "Reading in Japanese as a Second Language : A Review of Empirical Research"Scientific Approaches to Language(神田外語大学言語科学センター紀要). 2号. 53-78 (2003)
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[Publications] 堀場 裕紀江(共著): "日本語学習者の語彙能力と文法能力の特徴"平成14年度日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)(2)研究成果報告書「テクスト理解と学習」代表者:堀場 裕紀江. 1-22 (2003)
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[Publications] 長谷川 信子: "1人称の省略:統語構造による分析(A Preliminary Analysis)"平成15年度日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)(2)研究成果報告書「テクスト理解と学習」代表者:堀場 裕紀江. 33-60 (2004)
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[Publications] Hasegawa, Nobuko: "'Unaccusative Transitives' and Burzio's Generalization : Reflexive Constructions in Japanese"Proceedings of the Workshop on Altaic in Formal Linguistics. 1号(印刷中). (2004)
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[Publications] Hasegawa, Nobuko: "On the Possessor Raising Construction : Transitivization and Adversity"Scientific Approaches to Language(神田外語大学言語科学センター紀要). 3号(印刷中). (2004)
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[Publications] Hasegawa, Nobuko: "Notes on the Structures of Change of Location and Change of State Predicates"Scientific Approaches to Language(神田外語大学言語科学センター紀要). 2号. 25-52 (2003)
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[Publications] Inoue, Kazuko: "On Japanese Conditional Particles and Their Functions in a Discourse (Preliminary)"平成15年度日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)(2)研究成果報告書「テクスト理解と学習」代表者:堀場 裕紀江. 61-73 (2004)
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[Publications] 井上 和子: "日本語の難易文について"牧野成一先生古希記念論文集. (印刷中). (2004)
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[Publications] Inoue, Kazuko: "Japanese 'Tough' Sentences Revisited"Scientific Approaches to Language(神田外語大学言語科学センター紀要). 3号(印刷中). (2004)
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[Publications] 井上 和子: "格助詞の交替現象-「から」を中心に-"駒井明先生追悼記念論文集. 1-25 (2003)
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[Publications] Inoue, Kazuko: "Diversity of Clause Structures"Scientific Approaches to Language(神田外語大学言語科学センター紀要). 2号. 79-134 (2003)
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[Publications] Kobayashi, Miyoko: "Investigation of Test Method Effects : Text Organization and Response Format"Language Testing. 21号(印刷中). (2004)
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[Publications] Kobayashi, Miyoko: "Reading Comprehension Assessment : From Text Perspectives"Scientific Approaches to Language(神田外語大学言語科学センター紀要). 3号(印刷中). (2004)
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[Publications] Kobayashi, Miyoko: "Diversifying Instructional Contexts : An Evaluation of the Science Across Europe Programme"Scientific Approaches to Language(神田外語大学言語科学センター紀要). 2号. 171-188 (2003)