2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14380128
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
尾形 良彦 統計数理研究所, 調査実験解析研究系, 教授 (70000213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 整尚 統計数理研究所, 予測制御研究系, 助教授 (60280525)
樋口 知之 統計数理研究所, 予測制御研究系, 教授 (70202273)
種村 正美 統計数理研究所, 調査実験解析研究系, 教授 (80000214)
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Keywords | ETASモデル / クーロン破壊ストレス変化 / 相対的静穏化現象 / 前駆的非地震性すべり / 確率的除群法 |
Research Abstract |
統計モデルによる余震系列の静穏化の検出 最初の余震系列の経過情報から,その後に近隣で本震に近い規模またはそれ以上の大きな余震や地震の発生の確率が高まるか否かを判断するのは地震予知の観点から重要である。実際,前者の地震の余震系列にETAS点過程を当てはめ,AICによる適合度を比較してみると,余震活動が静穏化している場合が多い。同様の解析によると2003年宮城県北部地域の前震も静穏化している可能性が大きい。このほか2003年5月宮城県沖の余震活動は,M1.5以上(但し本震後20日以降のあてはめ)では,宮城県北部の地震(M6.2)によると思われるコサイスミックな静穏化が見られ,M0以上では前駆的な静穏化も見られた。2003年5月宮城県沖の本震前、その近傍周辺領域で数ヶ月に渡る静穏化が微小地震では見られる。 相対的静穏化現象のメカニズム 余震域近傍での将来のトリガー地震断層内のプレスリップを仮定するとき,これが余震活動にとって、せん断ひずみが減少(ストレス・シャドウ)し静穏化すると考えるが,通常そのクーロン破壊関数値は大きくない。しかし,そのような応力変化でもDieterich(1992)の摩擦構成則の理論に基づけば、条件によっては、地震(余震)活動の数割の低下が起きうる。 北日本における前駆的地震活動の静穏化・活発化とストレス変化 北海道・東北地方北部を含む広域で、改定マグニチュードの気象庁カタログで1926年から2003年までのM5以上の地震をETASモデルで解析すると、1952年、1968年および2003年十勝沖地震(M8.0)の前の、それぞれ10年間ほどの相対的静穏化が見られる。 北日本の一元化データをETASモデルで解析すると、(1)1993年北海道南西沖地震(M7.8)の余震活動および1983年日本海中部地震(M7.7)の余震が1996年秋に顕著に低下(相対的静穏化)している。この時期で十勝沖地震の震源断層またはその深部での先駆的滑りを仮定すると、それぞれの余震域はストレス・シャドウになっている。同時に、この滑りによって、東北地方内陸部や東北沖プレート境界部のスラスト型メカニズムの受け手断層ではクーロンの破壊ストレスが増加しなければならない。これに調和的に、ETASモデルで(2)東北地方内陸部の地震活動の活発化が示される(相対的活発化)。さらに、(3)1994年三陸はるか沖の余震活動にも相対的な活発化が見られる。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] Ogata, Y., Jones, L.M., Toda, S.: "When and where the aftershock activity was depressed : Contrasting decay patterns of the proximate large earthquakes in southern California"Journal of Geophysical Research. vol.108, B6. ESE6.1-ESE6.12 (2003)
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[Publications] Ogata, Y., Katsura, K., Tanemura, M.: "Modelling heterogeneous space-time occurrences of earthquakes and its residual analysis"Applied Statistics (JRSSC). Vol.52, No. 4. 499-509 (2003)
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[Publications] Vere-Jones, D., Ogata, Y: "Statistical Principles for Seismologists"International Handbook of Earthquake and Engeneering Seismology. Part B, Chapter 82. 1573-1586 (2003)
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[Publications] Ogata, Y.: "Examples of statistical models and methods applied to seismology and related earth sciences"International Handbook of Earthquake and Engeneering Seismology. Part B, Chapter 82(CD-ROM). (2003)
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[Publications] 尾形 良彦: "統計的時空間モデルで検出された中部・近畿地方の地震活動変化(1995-2001)"地震予知連絡会会報. 第71巻. 361-363 (2003)
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[Publications] 尾形 良彦: "1944年東南海地震および1946年南海地震前後の西南日本における地震活動の変化について"地震予知連絡会会報. 第71巻. 378-383 (2003)
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[Publications] 尾形 良彦: "広域地震活動の時空間モデルとその活動変化解析"月刊 地球. 第25巻,No.10. 783-787 (2003)
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[Publications] 尾形 良彦: "2003年宮城県北部の前震活動と余震活動および周辺部の地震活動の統計解析"地震予知連絡会会報. 第71巻. 260-267 (2004)
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[Publications] 尾形 良彦: "宮城県沖プレート境界型大地震までの東北地方における地震活動"地震予知連絡会会報. 第71巻. 268-278 (2004)
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[Publications] Ogata, Y.: "Space-Time Model for Regional Seismicity and Detection of Crustal Stress"Journal of Geophysical Research. 印刷中. (2004)
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[Publications] Ogata, Y.: "Seismicity quiescence and activation in western Japan associated with the 1944 and 1946 great earthquakes near the Nankai Trough"Journal of Geophysical Research. 印刷中. (2004)
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[Publications] Zhuang, J.C., Ogata, Y., Vere-Jones, D.: "Analyzing earthquake clustering features by using stochastic reconstruction"Journal of Geophysical Research. 印刷中. (2004)