2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14380134
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
西原 清一 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 教授 (50026168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 幸男 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 教授 (80311596)
加藤 伸子 筑波技術短期大学, 電子情報工学科, 助教授 (90279555)
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Keywords | 制約充足問題 / グラフ色ぬり問題 / 相転移現象 / 計算複雑さ / 組合せ探索 / アルゴリズム / NP完全 / 知識表現 |
Research Abstract |
制約充足問題(Constraint Satisfaction Problem)は、NP完全問題の典型的な例である。この具体的な問題である3色グラフ色ぬり問題(3COL)について、研究を行った。無向グラフを3色でぬり分けられるかどうかを判断する問題は、決定問題の一種である。これが肯定的に解けるということは、対象を充足する値組すなわち制約充足問題の解が存在するということになる。 決定問題の定義はこのように簡潔であるが、現実にコンビュータと用いて解決しようとすると、ときに膨大な計算時間を要するグラフ(例外的に困難な問題,Exceptionally Hard Problem)が存在する。例外的に困難な問題の生成法は、従来、確率的に発生させ偶然性に依存するという試行錯誤的なアプローチが行われてきた。 これに対して本研究では、そのような困難問題を構成的に確実に生成する系統的な方法をいくつか新たに提案した。生成した問題が例外なく、超困難すなわち組合せオーダの計算時間を要することを、実在のアルゴリズムを用いたコンピュータシミュレーションによって示した。また、生成した超困難問題は、相転移現象と呼ばれる性質に合致していることも明らかにした。 特に本年度は、種となる極小非可解グラフを新たに見出し、また、それらにHajos操作を施すことにより、任意に大きな極小非可解問題を生成し、コンピュータによって解決するときの計算時間を観測した。 本年度は、国際会議5件、国内の学会誌(含電子情報通信学会誌2件)の論文3件を発表した。しかし、このような例外的に困難な問題に対する効率よい解決アルゴリズムが理論的に存在し得ないという最終解決には至っていない。 この課題は抽象的かつ理論的な問題と思われがちであるが、コンピュータによる実用的な知識処理が可能であるかどうかを明らかにする問題であり、重要性は非常に高い。今後はこの課題について、グラフ色ぬり問題だけでなく、制約充足問題全般を対象にし、その効率よいアルゴリズムの開発、および制約充足問題の知識処理分野における応用に取り組んで行く計画である。
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