2005 Fiscal Year Annual Research Report
受信メッセージ予測に基づく高性能マルチコンピュータの研究
Project/Area Number |
14380135
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
馬場 敬信 宇都宮大学, 工学部, 教授 (70092616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 隆史 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (90334078)
大津 金光 宇都宮大学, 工学部, 助手 (00292574)
吉永 努 電気通信大学, 大学院情報システム学研究科, 助教授 (60210738)
加藤 茂夫 宇都宮大学, 工学部, 教授 (00143529)
長谷川 まどか 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (80322014)
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Keywords | 受信メッセージ予測 / 高性能計算機システム / 動的最適化 / 投機的処理 |
Research Abstract |
本基盤研究では、次に受信するメッセージを予測するアルゴリズムを考案し、MPIに実装するとともに、その効果をNAS Parallel Benchmarkを用いて定量的に明らかにした。本年度は研究の最終年度として、研究成果をJohn-Wiley&Sons, Inc.から出版された"High-Performance Computing---Paradigm and Infrastructure---のChapter13として、"Receiving Message Prediction and Its Speculative Execution"と題して公表した。その主要な内容は以下の通り。 1)メッセージの受信系列には規則性があることの実験的な裏付けを明らかにした。 2)予測アルゴリズムとしては、最後に受信したメッセージと同じもの(Previous)と、受信系列を利用したマルコフ予測(Markov)の2つの方法の有効性が高いことを実験的に示した。 3)予測アルゴリズムを静的に選択して使用する方法と、動的に適したものに切り替えて使用する方法とを考案した。 4)手法の有効性を検証するために、メッセージ通信を標準的なMPIライブラリを使用したNAS Parallel Becnmarkを使用して評価した。 5)評価の結果、我々の提案する手法が特定の計算機に依存せずに使用可能なこと、ソフトウェアライブラリ中への実装によって最大6.8%の性能向上が達成可能なこと、この手法の適用によって各ノードプロセッサのアイドル時間が有効活用できること、プロファイリングの結果を活用することで予測の成功率を向上し、予測ミスによるオーバヘッドを削減できること、などを明らかにした。 また、受信メッセージ予測機構を動的最適化機構の一環として捉え、16年度に引き続き、予測と投機実行を基盤とした計算機システムを新たに提案し、その計算モデルの詳細化と、実現に向けた研究を継続的に行った。具体的には、チップマルチプロセッサアーキテクチャを基盤アーキテクチャとして、その上に、実行を観測し、その結果に基づいて自律的に最適化を行う機構を検討した。本研究に関する17年度の研究成果を次に要約する。 1)PISAをベースとしたVLIWチップマルチプロセッサアーキテクチャを定義し、そのシミュレータの設計・試作に着手した。2)VLIWプロセッサのおよびコードスケジューラの設計・試作に着手した。3)FPGA上に、パイプライン化PISAプロセッサを実装した。4)FPGAを用いて、パスプロファイリング機構を設計、実装した。 これらの研究成果は、添付したように論文誌、研究会、学会全国大会等で発表している。
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Research Products
(26 results)