2003 Fiscal Year Annual Research Report
多主体複雑系に基づくエージェント社会モデルの構築と適用
Project/Area Number |
14380154
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
寺野 隆雄 筑波大学, 社会工学系, 教授 (20227523)
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Keywords | 計算組織論 / エージェントシミュレーション / 人工社会 / 人工知識 / 学習分類子システム / ゲーミングシミュレーション / 多主体複雑系 / 行動ファイナンス |
Research Abstract |
情報技術の発展にともなって、世界規模で市民の意識・行動の変化が、社会制度に追いつかない現象が頻発している。一方で、実践的な応用システム・工学システムの普及は著しい。この現実と理論のギャップの解決は次世代情報社会実現への焦眉の課題である。本研究では、豊富な内部状態をもつ個体(ソフトウェアエージェント)から構成される粒度の比較的大きい分散協調型システムのための計算モデル「組織計算理論」を構築し、あわせて、その有用性を実規模の問題に適用することで実証することを目的とする。 本年度の研究が明らかにした主要な項目を4つ挙げる。第1に、社会的合意形成の研究に関しては、エージェント・ベース・モデリングの手法が有用であること示した(寺野:人工知能学会誌,Vo1.18, No.6, 2003)。第2に、行動ファイナンスに関しては、認知心理学のプロスペクト理論に基づくエージェントの存在が、市場の非合理的な動きを説明することを示した(高橋・寺野:電子情報通信学会誌J86-D-1, 8, 2003)。第3に、金融制度のあり方に関しては、人工市場における人間プレイヤーとエージェントによる実験により、市場の安定性に関する知見が得られている。これらについては、Terano, T. et al. (eds.) : Meeting the Challenges of Social Problems via Agent-Based Simulation, Springer 2003で詳しく論じた。第4に組織科学に関連して、Axelrod等は「複雑系を慣らす」重要性を指摘しており、これを説明する書籍を翻訳出版した(「複雑系組織論」寺野訳,ダイヤモンド社,2003)。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 寺野 隆雄: "エキスパートシステムはどうなったか?"計測と制御. Vol.42, No.6. 458-462 (2003)
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[Publications] 寺野 隆雄: "Web上の情報推薦システム"情報処理. Vol.44, No.7. 696-701 (2003)
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[Publications] Atsuko Arai, Takao Terano: "Agent-Based Simulation for Educational Policy Social Contributions and Responsibities of Simulation and Gameing"34th Conf.Int.Simulation and Gaming Assoc.. 267-274 (2003)
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[Publications] 倉橋 節也, 勝又 勇次, 寺野 隆雄: "ベイジアン最適化手法と分布推定アルゴリズムの動向"人工知能学会誌. Vol.18 No.5. 487-494 (2003)
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[Publications] 高橋 大志, 寺野 隆雄: "エージェントモデルによる金融市場のミクロマクロ構造の分析:リスクマネジメントと資産価格変動"電子情報通信学会論文誌D-1. Vol.J86-D-1, No.8. 618-628 (2003)
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[Publications] 寺野 隆雄: "エージェントベースモデリング:KISS原理を超えて"人工知能学会誌. Vol.18 No.6. 710-715 (2003)
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[Publications] T.Terano, H.Deguchi, K.Takadama (eds.): "Meeting the Challenge of Social Problems via Agent-Based Simulation"Springer Verlag. (2003)