Research Abstract |
視線測定装置とコンピュータ制御可能な2台の能動カメラで構成される装着型ビジョンセンサを開発した.このセンサは,カメラが装着者と視点を共有することで,装着者の視線情報を獲得することができる.構築したセンサは,計算機とヘッド部に大別される.ヘッド部には,視線測定装置とコンピュータ制御可能な2台の能動カメラが装備されている.2台のカメラの投影中心と左右の眼球中心は全て,ほぼ同一直線上に並ぶように設計されている.視線測定装置は,非接触型で,瞳孔/角膜反射法を実装したNac製EMR-8を用い,右眼の視線情報を獲得する.また,カメラはSony製EVI-G20を用いている.EVI-20は,内部にモータを2個搭載していて,コンピュータ制御によって,パン,チルト方向に,カメラの撮像系全体を物理的に回転することができる.また,駆動系の回転中心とカメラの投影中心とが一致するように設計されている.一方,計算機はPC(PentiumIII 750MHz)を用いている.まず,2台のカメラによってステレオ視を実現させることによって,見ている点までの奥行きを算出し,その奥行きに応じて,画像上に重ね書きされた装着者の視線を表す点を補正する自動キャリブレーションアルゴリズムを考案した.この補正により,装着者が見ている点の奥行きが変わるような現実的な環境下でも,正確にその視線情報を検出することが可能になった.一方,装着型ビジョンセンサを用いた,把持物体の3次元形状復元では,対象までの距離が近いため,復元された部分的な形状を張り合わせて,物体の全体形状を復元する必要がある.従来,特徴点の位置情報のみを利用して形状の張り合わせが行われていたが,本研究では,位置情報に加えて明度情報を用いることで,ノイズや特徴点の誤検出が存在する場合でも,頑健に形状の張り合わせを実現するアルゴリズムを検討した.また,キャリブレーションされていないカメラで撮影されたコニックの投影像を解析し,多視点から得られたコニックの投影像の間には,多重線形形式で表現される拘束式が存在することを示した.
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