2003 Fiscal Year Annual Research Report
放射線による人体の非均質外部被曝に対する実効線量評価とリスク表示
Project/Area Number |
14380228
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
澤村 貞史 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70002011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤吉 亮子 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70229061)
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Keywords | 放射線防護 / 実効線量 / 外部被曝 / 非均質被曝 / 換算係数 |
Research Abstract |
前年度の電子に対する計算に引き続き本年度は主として光子、陽電子の計算を行い、電子、陽電子、光子の比較検討を行った。 AP(前面から背面への照射)、PA(背面-前面)照射に対して、部分照射時の各臓器の等価線量や実効線量および入射フルーエンスから実効線量への換算係数を求めた。部分照射としては身体の1/2、1/10の面積の線源で照射を行った(比較のため全身均一照射の計算も行った)。エネルギー範囲は10keV-200MeVである。また、部分照射時の人体上の位置に対する依存性のみならず換算係数の人体被照射面積に対する依存性を求めるために、腰から20cm上方で背骨の位置を中心とする面積のことなる長方形の線源を設定し、この線源から平行ビームで照射した場合の換算係数を求めた。それらの結果 1.光子では、(1)換算係数の光子エネルギー依存性は100keV以下で全身照射と異なる特性を示す部分照射がある。しかし、それ以上ではほぼ同一の特性を示す。(2)また、例えば1/10照射においては、換算係数の値は全身の値の1/3-1/10となり、照射面積比に一致せず、照射位置やエネルギーに依存していることがわかった。(3)各光子エネルギーとも、実効線量の線源サイズに対する依存性はほとんど見られなかった。 2.陽電子では、(1)照射位置依存性や線源サイズ依存性、エネルギー依存性等に関して、電子の場合と類似した結果を得た。(2)しかし、いずれの計算においても消滅ガンマ線による違いが示された。すなわち、電子と同様に1MeV以下では陽電子自体は皮膚にしかエネルギーを付与していない。しかし、陽電子の場合には消滅ガンマ線が発生するため、1MeV以下においてもPA照射では乳房、睾丸、胃など、PA照射では赤色骨髄等多くの身体内部の臓器にエネルギーが付与される。その結果、AP照射では2MeVまで、PA照射では10MeVまで陽電子に対する換算係数のほうが電子に対する値よりも大きくなることが分かった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Kitaichi, et al.: "Fluence to Dose Conversion Coefficients for Electrons up to 200MeV in case of Localized Exposure"Proceeding of the Second International Symposium on Radiation Safety and Detection Technology, Sendai, Japan. 67-67 (2003)
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[Publications] M.Kitaichi, et al.: "Evaluation of Neutrons Leaking from the Accelerator Facilities"Proceeding of Ninth Symposium on Neutron Dosimetrey, Delfut, Netherlands. 125-125 (2003)
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[Publications] 岩井重則 他: "高エネルギー電子線に対する部分被曝時の線量換算係数-実効線量の線源面積依存性-"日本放射線安全管理学会第2回学術大会予稿集. 39-39 (2003)
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[Publications] 片桐美穂 他: "高エネルギー電子線に対する部分被曝時の実効線量計算"日本原子力学会北海道支部第21回研究発表会要旨集. 22-23 (2003)
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[Publications] 岩井重則 他: "高エネルギー光子に対する部分被曝時の線量換算係数"日本原子力学会2004年春の年会要旨集. (発表予定). F26-F26 (2004)