2004 Fiscal Year Annual Research Report
半導体材料に対する高エネルギーイオン照射効果の「その場」測定
Project/Area Number |
14380233
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅井 圭介 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60231859)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 岳夫 東京大学, 原子力研究総合センター, 助手 (30272529)
|
Keywords | 高密度励起 / イオンビーム / 時間分解発光スペクトル / MgO / 電子-正孔プラズマ / 照射効果 |
Research Abstract |
高エネルギーイオンによる高密度電子励起と、それに伴い誘起される、試料の局所的な構造変化については、これまでに多くの研究者による報告があるにも関わらず、その基礎過程については解明されていない。我々は、この問題に対し、励起された電子や正孔、あるいは励起子の輻射緩和による発光スペクトルを測定することにより、高密度に付与されたエネルギーのダイナミクスを「その場」で観察することに成功した。 今年度は、時間分解発光スペクトルの測定により、高密度励起状態のダイナミクスの解析を行った。単一のイオンが入射する時間を、イオンがCarbon foilを通過した際に放出される二次電子をMCPによって検出することによって同定し、イオン誘起発光が検出される時間との時間差を測定することにより、発光時間プロファイルを得た。これを、複数の発光波長で測定することによって、時間分解発光スペクトルを得た。 CdSなどの半導体よりも、電子-格子相互作用がやや強い、MgOを試料として測定を行った。照射するイオンの質量を大きくし、励起密度を増大させるにつれ、160nm付近の自由励起子による鋭い発光帯の強度は減少し、ついには消滅した。対照的に、180nm付近の幅広い発光帯の強度が増大した。これらの発光帯では共に、100ピコ秒程度の、非常に高速な減衰が観測された。現在のところ、以上の励起密度依存性は、半導体中の電子-正孔プラズマに類似した集団励起状態が発生し、その中での静電遮蔽により、自由励起子が形成されなくなったためであり、180nm付近の発光帯は、電子-正孔プラズマに類似した集団励起状態における1対の電子-正孔の輻射再結合によるものであると考えられる。
|
Research Products
(2 results)