2002 Fiscal Year Annual Research Report
汽水湖酸化還元境界層から生産される亜酸化窒素の地球温暖化に対する寄与
Project/Area Number |
14380243
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
清家 泰 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (30243421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三田村 緒佐武 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (50030458)
持田 和男 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (30032577)
奥村 稔 島根大学, 総合理工学部, 教授 (30032650)
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Keywords | 汽水湖 / 温暖化ガス / 亜酸化窒素 / 亜酸化窒素生成菌 / ヒドロキシルアミン / 窒素循環 / 酸化還元 / 硫化水素 |
Research Abstract |
1.汽水湖の無機態窒素の動態(担当:三田村・清家):中海・宍道湖に加え、比較の意味から韓国の4汽水湖についても調査した。中海の特性としては、深層水中で夏期に硝化由来と考えられるNO_2の蓄積が観察されたことが挙げられる。韓国の汽水湖も富栄養化の進行と温暖化ガスN_2Oの蓄積が認められた。 2.ヒドロキシルアミンの定量法の開発(担当:清家・奥村)(投稿準備中):窒素循環におけるNH_4+からNO_2への硝化過程の中間体であり、かつ硝化による亜酸化窒素(N_2O)生成の中間体と考えられるヒドロキシルアミン(NH_2OH)の新規な定量法を開発した。本法は次亜塩素酸を酸化剤としてNH_2OHをN_2Oに酸化し、これをECD付ガスクロマトグラフで定量するものである。当初、淡水サンプルしか適用できなかったが、改良を加え汽水・海水サンプルにも適用可能とした。本法により中海の深層水及び宍道湖のヨシ滞で高濃度のNH_2OHが観測された。また、比較の意味で調査した韓国の汽水湖のヨシ滞においても高濃度のNH_2OHが検出された。今後、N_2O生成とNH_2OHの因果関係の解明が期待される。 3.単離したN_2O生成菌の同定・生理試験(担当:持田・千賀・清家):宍道湖から単離した2種類のN_2O生成菌はAeromonas sp.及びVibrio sp.と同定された。両菌の至適塩分はそれぞれ0〜20psu及び10〜20psu、至適温度はそれぞれ20〜37℃及び20〜30℃であり、至適pHはいずれの菌も6〜8であった。 4.単離菌のN_2O生成に及ぼす硫化水素の影響(担当:千賀・清家):両菌のN_2O蓄積活性に及ぼす硫化水素(H_2S)の影響をみたところ、Aeromonas sp.については、H_2S濃度1〜5mgS/Lで、Vibrio sp.については1〜10mgS/Lの範囲でそれぞれ促進作用を示した。またこれらは、硝酸還元を行う一方でH_2SをS^0に酸化する能力を有する興味深い細菌であることが分かった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Senga, K.Mochida, N.Okamoto, K.Fujinaga, Y.Seike: "Nitrous oxide in brackish Lake Nakaumi, Japan II : the role of nitrification and denitrification in N_2O accumulation"Limnology. Vol.3. 21-27 (2002)
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[Publications] M.Okumura, T.Anate, K.Fujinaga, Y.Seike: "A simple and rapid in situ preconcentration method using solid-phase extraction for the determination of dissolved manganese in brackish lake water samples"Analytical Science. Vol.18. 1093-1097 (2002)