2003 Fiscal Year Annual Research Report
セミパラチンスク核実験場周辺での長期低線量率被曝に関する外部被曝線量再構築
Project/Area Number |
14380253
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高田 純 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教授 (00274134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 斉 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助手 (90285057)
岡本 哲治 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00169153)
星 正治 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (50099090)
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Keywords | セミパラチンスク / 線量評価 / TLD / ESR / 小型核兵器 / テロ / 放射線防護 |
Research Abstract |
歯のエナメル質を用いたESRドシメトリーにおける、長期太陽光暴露の影響を調べる実験を、前年度に引き続き継続した。2002年9月30日から2003年10月27日までに、11資料(11人分)に対し、58000 J/cm^2の太陽光照射をした。11個の試料のうち5個については予め^<60>Coγ線を約3Gy照射した、残り6個は^<6o>Coγ線に照射しないで、太陽光暴露を実施している。これまでの実験で明らかになってきたことは、次にまとめられる。 1.太陽光の照射が人間の歯のエナメルのESR信号に影響を与える。 2.太陽光照射により^<60>Coγ線照射の:ESRスペクトルと異なるピークが発生した。 3.ピークg=2.0052とg=2.010は太陽光照射に感度が高い。g=2.010信号は照射後の安定性は比較的低く、経時変化がある。 4.g_⊥=2.0018とg_<||>=1.998は照射光量に対し、直線的な依存性を示す。現在の試料による、ピークg_⊥=2.0018は50-70J/cm^2太陽線量が1Gyのγ線効果と相当する。 5.約58000J/cm^2の太陽光線量は約1000Gyのγ線照射効果に相当する。 本年度は昨年度クルチャトフ市にて採取し、残してきたレンガ資料を日本へ持ち帰ることができた。この解折は来年度になる。 2002年の現地調査で発見した小型核兵器の地上爆発試験跡の残留放射線データを解析した。クレータサイズから推定される爆発出力は0.1-0.3ktであり、ロシア原子エネルギー省と国防省が1996年に報告したソ連時代の実験年表から、それはセミパラチンスクの1961年の実験と照合できた。 現在こうした小型核兵器を用いた国際テロリストによる、敵対国の都市攻撃が懸念されている。従って、これに対する公衆の放射線防護は重要課題である。そこで、1ktの小型核兵器の地上爆発に対するフォールアウト線量の推定と屋内退避とそれに続く地下鉄避難での回避線量を評価した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 高田 純: "セミパラチンスクにおける核兵器実験"科学. 73・4. 467-473 (2003)
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[Publications] 高田 純: "東京での核兵器テロ被曝シミュレーション"科学. 73・5. 614-619 (2003)
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[Publications] 高田 純: "原子力防災(前編)"科学. 73・6. 644-670 (2003)
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[Publications] 高田 純: "原子力防災(後編)"科学. 73・7. 812-815 (2003)
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[Publications] K.Sizuma, S.Endo, M.Hoshi, J.Takada et al.: "Measurement of Residual ^<60>Co Activity Induced by Atomic-bomb Neutrons in Nagasaki and Background Contribution by Environmental Neutrons"J.Radiat.Res.. 43. 387-396 (2002)
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[Publications] 高田 純: "セミパラチンスク核兵器実験場グランドゼロ2002年の放射線周査"KEK Proceedings. 2003-11. 352-357 (2003)