2005 Fiscal Year Annual Research Report
種々の環境ストレスによるp53のシグナル伝達とそのクロストーク
Project/Area Number |
14380255
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岡市 協生 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (80124874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 寛 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00073130)
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Keywords | p53 / 環境ストレ / クロストーク / 放射線応答 / シグナル伝達 / リン酸化 |
Research Abstract |
1.種々のストレスによるp53のリン酸化の役割を調べるために、セリン20の部位が変異した、S20AとS20Dを用いて実験を行った。S20Aはリン酸化が行えない変異で、S20Dは擬似的にリン酸化が起こったようになる変異である。LacSwitchのベクターを用いてH1299細胞(ヒト肺非小細胞癌)に導入し、これらの変異遺伝子の発現誘導をIPTGで行えるようにした。コントロールとして正常p53遺伝子導入細胞を用いた。IPTGによりp53タンパク質を誘導すると、正常p53とS20A細胞では、増殖阻害が見られた。一方、S20D細胞では、増殖阻害はほとんど見られなかった。DNAチップを用いて遺伝子発現誘導を調べた。正常p53遺伝子導入細胞では、SMAD3やRBL1などの遺伝子が2倍以上誘導されており、細胞周期停止に働いていると考えられた。さらに、CASP3が誘導されてアポトーシスーが起こっていた。一方、S20D細胞ではCDK2が2倍以上誘導されることにより細胞周期停止がキャンセルされており、アポトーシスー関連の遺伝子の誘導も見られなかった。さらに注目すべきことは、S20D細胞ではDNA損傷により誘導される典型的な遺伝子群は誘導されていなかった。つまり、セリン20の部位のリン酸化単独では、DNA損傷による遺伝子発現誘導ができず、いくつかの部位のリン酸化などの修飾が合わさって、初めて各種のストレス誘導遺伝子の発現が起こることが確認できた。 2.p53各変異細胞での放射線感受性の違いについては調べた。16種類の変異p53遺伝子を作成して、ヒト骨肉種細胞Saos-2に導入した。放射線に抵抗性になったのは、175H、244C、245S、273H、282Wの遺伝子導入細胞で、この内4種類がホットスポット変異であった。放射線に感受性になったのは123A、195T、238Y、242Fの遺伝子導入細胞であり、正常p53遺伝子導入細胞と同等かそれ以上の感受性を示した。残りの、7細胞は中間の放射線感受性を示した。この結果より、p53の変異部位によりストレス応答に差があることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)