2003 Fiscal Year Annual Research Report
酸化触媒反応による難分解性有機塩素化合物の腐植化促進とそれによる毒性変化の評価
Project/Area Number |
14380283
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST) |
Principal Investigator |
福嶋 正巳 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 主任研究員 (40344113)
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Keywords | 腐植物質 / ペンタクロロフェノール / 金属-ポルフィリン錯体 / 金属-フタロシアニン錯体 / 酸化 / 汚染土壌浄化 / 塩素化ダイオキシン / 無害化 |
Research Abstract |
昨年度は起源の異なる種々の土壌から腐植物質を抽出し、それらの腐植化度のパラメータ(元素組成と官能基量)とペンタクロロフェノール(PCP)に対する分解率との相関関係を調べた。その結果、腐植化度が低い泥炭や堆肥土壌由来の腐植物質を共存させるとPCPの分解率は大きくなることを明らかにした(Environ.Sci.Technol.2003,37,1031)。また、PCPは酸化触媒により酸化中間体となり、それが腐植物質とラジカルカップリングして腐植化物が生成することを明らかにした。そして、腐植化物の毒性をバイオアッセイにより調べた結果、PCPのみの場合に比べ大きく低下していることを明らかにし、酸化触媒反応に伴うPCPの腐植化はその無害化に大きく寄与することを世界で初めて実証した(Environ.Sci.Technol.2003,37,386)。本年度は、鉄-ポルフィリン錯体を用いた酸化触媒反応系をPCP汚染土壌に適用し、泥炭腐植酸の添加が溶液系だけではなく土壌系でも浄化効率の向上に有効であることを実証した。また鉄-ポルフィリン錯体以外に鉄-フタロシアニン錯体等他の酸化触媒でも、泥炭や堆肥土壌由来の腐植物質の添加が分解効率の促進に有用であることを明らかにし、PCPの酸化分解効率の促進に及ぼす腐植物質の効果に対する広汎性が確かめられた。一方、本酸化触媒系を塩素化ダイオキシン類(PCDD)に適用する場合、溶液中にngL^<-1>オーダーしか溶存しないPCDDの測定には1L以上と多量の試料溶液が必要とされ、一回の試験で数百mgと多量の触媒が必要となり酸化試験を行うことが困難であるという問題点があった。そこで、少量の試料溶液でも測定が可能で簡便に極微量のPCPDが測定できる手法として、固相マイクロ抽出法で分離・濃縮後ガスクロマトグラフ-電子対捕獲検出器を用いて測定する方法を開発した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 福嶋正巳, 澤田章, 川崎幹生, 辰巳憲司: "Removal of pentachlorophenol from contaminated soil by iron(III)-porphyrin complexes and potassium monopersulfate"Toxicological and Environmental Chemistry. 85. 39-49 (2003)
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[Publications] 川崎幹生, A.Kuriss, 福嶋正巳, 澤田章, 辰巳憲司: "Effects of pH and organic co-solvents on the oxidation of naphthalene with peroxosulfate catalyzed by iron(III) tetrakis(p-sulfonatophenyl)porphyrin"Journal of Porphyrins and Phthalocyanines. 印刷中.
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[Publications] S.Rismayani, 福嶋正巳, 澤田章, 市川廣保, 辰巳憲司: "Effects of peat humic acids on the catalytic oxidation of pentachlorophenol using metalloporphyrins and metallophthalocyanines"Journal of Molecular Catalysis A : Chemical. 印刷中.
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[Publications] 藪田ひかる, 福嶋正巳, 田中ふみ子, 市川廣保, 辰巳憲司: "Solid-phase microextraction for the evaluation of partition coefficients of a chlorinate dioxin and hexachlorobenzene into humic substances"Analytical Sciences. 印刷中.
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[Publications] 柴田陽光, 福嶋正巳, 寺島元基, 田中俊逸: "Effect of humic acid on the light-induced degradation of chlorophenols"Humic Substances Research. 印刷中.
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[Publications] 福嶋正巳: "有害化学物質キャリアーおよびプールとしての腐植物質の機能"水環境学会誌. 27(2). 82-85 (2004)