2004 Fiscal Year Annual Research Report
芳香族基質プレニルトランスフェラーゼの分子解剖と構造生物学的解析
Project/Area Number |
14380286
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢崎 一史 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (00191099)
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Keywords | 芳香族化合物 / プレニルトランスフェラーゼ / p-ヒドロキシ安息香酸 / LePGT / Coq2 / 膜タンパク質 / シコニン / ユビキノン |
Research Abstract |
芳香族をアクセプタとするプレニルトランスフェラーゼは細菌から哺乳類まで広く分布し、電子伝達に必須なキノン類や多くの植物二次代謝産物の生合成において重要な役割を果たしている。しかし本酵素ファミリーは膜結合性であり、その解析が遅れてきた。本研究では、p-ヒドロキシ安息香酸:プレニルトランスフェラーゼをモデルとして、ナフトキノンのシコニンとベンゾキノンのユビキノン生合成に関わる二つの遺伝子LePGTおよびCoq2を取り上げ、その生化学的、酵素化学的性質を分子レベルで解明することを目的とした。 本年度は、昆虫の培養細胞を用いた系でムラサキのLePGT1を大量発現させることに成功した。この酵素は9回の膜貫通ドメインを持っているが、C-末端にHis-tagを付けることで活性に影響がないことを確認の後、Sf9の膜画分からデオキシコール酸で効率良く可溶化し、Ni-columnでアフィニティー精製し、単一のバンドとしてLePGT1を単離するプロトコールを確立した。これを結晶化のためのタンパク質供給系として研究を発展させている。 生化学的には、LePGT1の中の親水ループのうちNDxxDモチーフを含む保存配列、YAHQDを含む保存配列の部位特的変異から、酵素活性に必須のアミノ酸を数種類特定した。これらの内、前者がプレニル基質の結合部位、後者が芳香族基質の結合部位であるとの証明をするため、現在ミュータント酵素のKm値の比較で行っている。近い将来、基質の結合ドメインの同定ができるものと思われる。 一方、酵母のオルソログCoq2のin vivoにおける機能を解析する過程で、このミトコンドリア局在の膜タンパク質を高発現させると、ユビキノンの細胞内レベルが2倍に上昇すること、またこのタンパク質を本小胞体に高発現させると、ミトコンドリア型よりもユビキノン生産の上昇に強い影響があることを明らかにした。
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Research Products
(7 results)