2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヘム分子骨格への直接的化学変換を加えたヘムタンパク質の超高機能化
Project/Area Number |
14380291
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林 高史 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (20222226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久枝 良雄 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70150498)
島田 秀夫 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (80095611)
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Keywords | ミオグロビン / ペルキオシダーゼ / ペプオキシゲナーゼ / 鉄ポルフィセン / タンパク質再構成 / 過酸化水素 / グアイアコール / 中間体 |
Research Abstract |
ミオグロビンはプロトポルフィリンIX鉄錯体を補欠分子族として有し、酸素分子を安定に保持する機能を有している。しかし、他のヘムタンパク質は同じ鉄ポルフィリンを活性中心として有していながら、酸化触媒やセンサーなど多様な反応性を示す。この知見を参考にして、本年度はミオグロビン中のプロトヘムを、非天然のヘムであるポルフィセン鉄錯体(ポルフィリン鉄錯体の構造異性体)に置換し、再構成タンパク質を構築して、ペルオキシダーゼ、ペルオキシゲナーゼの評価を行った。その結果、この再構成タンパク質は天然タンパク質よりも酸化触媒として優れていることが実証された。たとえば、グアイアコール(2-methoxyphenol)の一電子酸化の場合、天然のミオグロビンに比べて約10倍の加速が、またチオアニソールやスチレンなどの酸素化(二電子酸化)の場合には、約5倍程度の顕著な加速が見られた。このように、ポルフィリン骨格を別の骨格に変換することにより、過酸化水素依存の酸化反応を加速する初めての例を示した。この理由の一つは、ポルフィセン鉄骨格の補欠分子の方が、過酸化水素内の酸素-酸素結合をヘテロリティックに開裂し、Compound I種(2電子酸化当量の反応活性種)を形成する割合が高いことにある。また、その反応の中間体は、3液混合のストップドフロー装置によって、過酸滴下後約100msecで得られることが判明した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takashi Hayashi: "Enhancement of Peroxygenase Activity of Horse Heart Myoglobin by Modification of Heme-propionate Side Chains"Chem.Lett.. 32. 496-497 (2003)
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[Publications] Takashi Hayashi: "Synthesis, Structure and Chemical Property of a First Fluorine-Containing Porphycene"Org.Lett.. 5. 2845-2848 (2003)
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[Publications] Takashi Hayashi: "Synthesis, Characterization, and Autoreduction of a Highly Electron-Deficient Porphycenatoiron(III) with Trifluoromethyl Substituents"Inorg.Chem.. 23. 7345-7347 (2003)
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[Publications] Takashi Hayashi: "Role of Heme-Propionate Side Chains in Myoglobin Function"J.Inorg.Biochem.. 96. 50 (2003)
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[Publications] Hideaki Sato: "Hybridization of Modified-Heme Reconstitution and Distal Histidine Mutation to Functionalize Sperm Whale Myoglobin"J.Am.Chem.Soc.. 126. 436-437 (2003)
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[Publications] Takashi Hayashi (分担): "Zinc Containing Enzyme and Their Models"Marcel Dekker, New York. 9 (2004)