2002 Fiscal Year Annual Research Report
新規膜結合性プロテアソームの構造特性と生理機能の解明
Project/Area Number |
14380297
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
小出 武比古 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60018695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 貞夫 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80148436)
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Keywords | プロテアソーム / 20Sプロテアソーム / ERbプロテアソーム / タンパク質分解 / 基質特異性 / SKLP |
Research Abstract |
プロテアソームは主として真核生物の細胞質に存在する高分子プロテアーゼ複合体で、種々のタンパク質分解はじめ、細胞周期・免疫・炎症・受精・アポトーシスおよびストレス応答など、きわめて多方面に機能する多機能性プロテアーゼである。本研究は、我々が精製に成功した新規膜結合性プロテアソーム(ERbプロテアソームと命名、以下ERbと略)と従来より知られている細胞質20Sプロテアソーム(以下20Sと略)との比較において、ERbの構造的特性と生理機能の解明を目的とする。 今年度は、今回我々が見出したプロテアソームの新しい格好のタンパク質基質SKLP(Streptomyces Killer toxin-like protein)を用いて、20SおよびERbのin vitroにおけるタンパク質分解反応を詳細に解析し、以下の結果を得た。 1)酵母などに対して生育阻害活性を示すSKLPのプロテアソーム阻害能を調べたところ、SKLPは両プロテアソームのSuc-LLVY-MCA水解活性を一時的に阻害したが、活性は経時的に回復した。SDS-PAGEによる解析で、この現象はSKLPがペプチド基質よりも優先的に両プロテアソームによって分解されるためであることが明らかになった。現在、in vitroでのプロテアソームの適当なタンパク質基質はほとんど知られておらず、格好のタンパク質基質としての有用性を見出した。 2)native SKLPを基質として両プロテアソームのタンパク質分解活性を調べたところ、分解の初期に、βストランドとβループの境界部が優先的に分解されていたことから、SKLPは高次構造を保持したままプロテアソーム分子の中に取り込まれて分解されることが示唆された。 3)SKLPの分解産物の詳細な解析の結果、20S, ERb共に、これまで否定されていた段階的分解(すなわち、最初に比較的大きな断片に分解され、その分解断片がさらにより小さな断片に分解される)が起こっていることが示唆された。 4)20SとERbの比較では、いずれの活性の場合もERbの方が高い活性を示したが、その差がどのような構造上の違いによるものかを明らかにすることは、次年度の課題である。
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