2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規膜結合性プロテアソームの構造特性と生理機能の解明
Project/Area Number |
14380297
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
小出 武比古 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 教授 (60018695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 貞夫 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 助教授 (80148436)
佐伯 晃一 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 助手 (40360052)
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Keywords | プロテアソーム / ERbプロテアソーム / 品質管理機構 / ホスファチジルイノシトールポリリン酸 / 小胞体関連分解 |
Research Abstract |
プロテアソームは新生タンパク質の品質管理機構をはじめ、多方面に機能する多機能性プロテアーゼである。本研究は、我々が世界に先駆けて精製に成功した新規膜結合性プロテアソーム(ERbプロテアソームと命名、以下ERbと略記)の構造的特性と生理機能の解明を目的とする。 今年度はERbがその特異的α5'サブユニット(昨年度までのサブユニットLを改称)を介してストレス応答下の小胞体膜に結合すること、さらに、その膜結合によって構造異常タンパク質の小胞体関連分解が促進されるというERbの生理機能を明らかにした。 1.ERbに特異的α5'サブユニットの膜結合能の解析(小出・若林が担当) ERbがα5'サブユニットを介して膜結合をすることを明らかにするために、α5/α5'を大腸菌で発現させた。さらにα5およびα5'のそれぞれにおいて、N末周辺部位のアミノ酸残基を置換した変異体も作製し、これらのα5/α5'組換え変異体と小胞体膜成分との相互作用の解析を行った。その結果、α5'組換え変異体はα5組換え変異体よりも優位にリン脂質と相互作用し、特に、ホスファチジルイノシトールポリリン酸と特異的に結合した。また、ERbと20Sも同様の方法でリン脂質結合能の解析を行ったところ、ERbのみボスファチジルイノシトールポリリン酸と強固に結合した。 2.ERbの機能解析(小出・佐伯が担当) ERbに特異的なα5'サブユニットおよびその部位特異的置換体を発現し、α1-アンチトリプシンNHKの分解を解析したところ、α5'(1P)やα5'(-1I,1P)を発現させた細胞ではERbタイプのプロテアソームが増加することで基質分解が亢進することが示唆され、α5(1M)を発現させると内在性のERbが20Sタイプに置き換わり、ERbタイプのプロテアソームが減少することで基質分解が遅延することが示唆された。α5'サブユニットがERbの膜結合能に関与し、ERストレス下で膜に結合したERbが異常タンパク質の細胞内分解に重要な役割を担っていることが強く示唆された。
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