2002 Fiscal Year Annual Research Report
新しい細胞間シグナリングシステムCD47-SHPS-1系の生理機能
Project/Area Number |
14380301
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
的崎 尚 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (80252782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大江 良秀 群馬大学, 生体調節研究所, 教務員 (80125830)
金子 和光 群馬大学, 医学部, 助手 (00334095)
岡澤 秀樹 群馬大学, 生体調節研究所, 助手 (80334126)
小林 久江 群馬大学, 生体調節研究所, 教務員 (80234839)
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Keywords | 細胞内シグナル伝達 / 細胞運動 / 細胞接着 / マクロファージ機能 / 血小板 / SHPS-1 / CD47 / 神経シナプス機能 |
Research Abstract |
私共は、これまで蛋白質チロシンリン酸化を介する細胞内シグナル伝達系に関する研究を継続してきているが、その過程において、全く新たな細胞間シグナル伝達システムであるCD47-SHPS-1系を見い出している。本研究では、このCD47-SHPS-1系の生理機能と作用機構に関し検討を行った。その成果を以下に、列記する。 (1)CD47-SHPS-1系による細胞運動の制御機構を詳細に解析するために、SHPS-1を発現する種々の培養細胞の運動能を解析できるシステムを構築した。この系を用い、CD47とSHPS-1の相互作用により活性化されるSHPS-1の下流シグナルにつき検討した。SHPS-1を発現する細胞にSHPS-1抗体あるいはCD47-Fcを作用させると、SHPS-1の脱リン酸化とアクチン細胞骨格系再編成の障害が認められ細胞運動の抑制が観察された。従って、CD47-SHPS-1系はSHP-2の制御を介して細胞運動を負に調節していると考えられた。 (2)SHPS-1ノックアウトマウスを作成し解析した結果、血小板数の低下と血小板寿命の短縮が認められ、in vitroにおいてはマクロファージの貧食能の亢進が観察された。マクロファージにはSHPS-1が豊富に発現しており、一方、血小板にはCD47が発現している。従って、血小板上のCD47とマクロファージ上のSHPS-1は相互作用し、脾網内系マクロファージによる血小板貧食過程を負に制御している可能性が示唆された。 (3)SHPS-1とCD47は共に中枢神経系にも高度に発現している。海馬初代培養神経細胞を用いた検討により、SHPS-1がaxon側に、CD47がdendrite側に極性をもって局在することを明らかにした。従って、CD47-SHPS-1系は神経系においてもシナプス機能などの極性をもった細胞間相互作用を制御する可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takada, T., et al.: "Induction of apoptosis by stomach cancer-associated protein tyrosine phosphatase-1 (SAP-1)"J. Biol. Chem.. 277巻・37号. 34359-34366 (2002)
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[Publications] Yamao, T., et al.: "Negative regulation of platelet clearance and of the macrophage phagocytic response by the transmembrane glycoprotein SHPS-1"J. Biol. Chem.. 277巻・42号. 39833-39839 (2002)