Research Abstract |
昨年度,イネ萎縮ウイルスの2重殻の原子構造に基づいて,Structure誌にその構造構築機構モデルを提案・報告したが,本年度は,そのモデルの妥当性を証明するための生化学的実験を行った.1つは,内殻の構造構築に,内殻タンパク質P3のN末端領域が重要であることを証明するために,N末端領域を削除した3種類の変異体とネイティブP3の発現系を構築し,球殻構造の再構築実験を行った.これにより,N末端領域が内殻構造形成の鍵となることを明らかにした(N.Miyazaki et al.(2004)J.Virology).さらに,内殻と外殻の相互作用が静電的相互作用によるものであることを証明するために,RDVの外殻タンパク質P8と同じような表面電荷分布を持つRGDV(Rice gall dwarf virus)の外殻タンパク質を用いて、異なるウイルス由来の2重殻構造を持つウイルス様粒子の構築に成功した(N.Miyzaki et al.(2005)J.Mol.Biol.) RDV粒子全体の高分解能の構造解析を目標として,精製・結晶化法の検討を進めた.また,高分解能の構造解析には,高輝度なX線光源であるSPring-8の利用が不可欠であるが,これまでは,RDVの結晶をダメージ無く凍結することができず,室温条件下でのデータ収集しか不可能であったが,結晶化条件の再検討とクライオ条件の最適化により,6Åの分解能のデータ収集が可能となった.現在,さらに高分解能のデータを与える条件を検討している. 各構成タンパク質を単独に構造解析することを目標として発現系の構築を進めてきたが,昆虫の媒介に必須のタンパク質P2と,RNA結合タンパク質P7の発現および精製に成功し,現在結晶化を始めている.また,RNA polymeraseであるP1の大量発現系の構築に成功し,現在精製条件の検討を進めている.guanylyltransferase活性を持つP5に関しても,大量発現系の構築を進めている.
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