Research Abstract |
昨年度に引き続いてRDV粒子の高分解能の回折強度データ収集を進めた。高輝度なX線光源であるSPring-8のアンジュレータビームラインBL44XUの利用を目指して,結晶化条件の再検討とクライオ条件の最適化を進めた結果,最高で3.2Å分解能の回折データを得ることのできる条件の決定に成功した.この条件で,従来100個以上の結晶を必要としていた回折強度データ収集を1個あるいは数個の結晶で行うことができるようになった.これにより,結晶間あるいはサンプル間での同一性のみだれによる構造のあいまいさを除くことができる.この条件で得られた8Å分解能のデータを用いて構造解析を進めた結果,これまでX線回折法で得られたものに比べて粒子内部の詳細な構造を反映した電子密度図を得ることができた.これはこれまでの研究で得られたクライオ電子顕微鏡法による密度図とよく一致するものである.この成果は,日本生物物理学会年会(東浦他,札幌2005.11)および日本結晶学会年会(東浦他,姫路2005.12)において発表した.これと並行して,P2タンパク質を含む完全なウイルス粒子の精製を行い,結晶化条件の検討を行った. また,JAXA高品質蛋白質結晶生成プロジェクトにより微小重力環境下で結晶化を行ったところ,非常にきれいな外形の結晶が得られることが確認され,微小重力環境がRDVの結晶化にとって良い条件となることを示した. この他,イネ萎縮ウイルスの構造解析用いた,既知の情報を使わずに構造解析を行うab inito法による位相決定法を詳細に検討し,その他のウイルスにも適用できることを示し,Acta Cryst.Sect.D誌に報告した(Taka et al.,2005).
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