2003 Fiscal Year Annual Research Report
選択的スプライシングを制御する新しいリン酸化シグナルカスケード
Project/Area Number |
14380326
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
萩原 正敏 東京医科歯科大学, 大学院・疾患生命科学研究部, 教授 (10208423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 芳滋 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (90274703)
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Keywords | SRPK / Clk / mRNAプロセシング / 特異的阻害剤 |
Research Abstract |
近年のヒトゲノム配列解析の進行により、ヒトゲノムは従来考えられていたよりも少数の遺伝子で構成されていることが明らかとなり、限られた遺伝子から膨大な種類のタンパク質産物を作り出すpre-mRNAの選択的スプライシング機構の重要性が改めて認識されることとなった。選択的スプライシングによって遺伝子発現の多様化が可能となり、発生や分化など真核生物の複雑性をもたらす種々の現象に重要な役割を果たしていると考えられる。選択的スプライシングはRNA認識モチーフとアルギニン・セリンが連続的に続くRSドメインを持つSR(serine/arginine-rich)タンパク質のリン酸化・量変化・局在変化を通じて制御されることが知られている。SRタンパク質リン酸化酵素としてSRPKファミリー、Prp4、Clk(cdc2-like kinase)ファミリーなどが知られている。Clkの過剰発現により、Clk自身やアデノウイルスElA遺伝子のpre-mRNAのスプライス部位選択に影響が出ることが知られているが、脊椎動物におけるClkの機能は不明である。そこで今回我々は,新しいClkファミリーの特異的阻害剤を創製しClkの機能解析を試みた。ベンゾチアゾール骨格を持つ一連の化合物を合成し、そのClkに対する作用を検討した結果、TG003と名づけた化合物がClk1およびClk4を特異的に阻害することを見出した。アフリカツメガエル初期胚にClkを過剰発現させると、重度の形態異常、発生遅延が観察されたが、TG003存在下ではその発生異常が抑制され正常化した。このことはClk依存的な選択的スプライシングの抑制が、正常発生過程にとって必須であることを示唆している。今後、選択的スプライシングの異常に起因する疾患に対し、TG003が薬理学的作用を有するか検討してゆく予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Takano, M, Koyama, Y, Ito, H, Hoshino, S, Onogi, H, Hagiwara, M, Furukawa, K, horigome, T.: "Regulation of binding of lamin B receptor to chromatin by SR protein kinase and cdc2 kinase in Xenopus egg extracts."J.Biol.Chem.. (in press). (2003)
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[Publications] Inoue, K., Zama, T., Kamimoto, T., Aoki, R., Ikeda, Y., Kimura, H., Hagiwara, M.: "TNFα-induced ATF3 Expression Is Bidirectionally Regulated by the JNK and ERK Pathways in Vascular Endothelial Cells."Gene to Cells. (in press). (2003)
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[Publications] Umehara, H., Nishii, Y., Morishima, M., Kakehi, Y., Kioka, N., Amachi, T., Koizumi, J., hagiwara, M., Ueda, K: "Effect of cisplatin treatment on speckled distribution of a serine/arginine-rich nuclear protein CROP/Luc7A."Biochem.Biophys.Res.Comm.. 301. 324-329 (2003)