2003 Fiscal Year Annual Research Report
染色体複製開始タンパク質とその制御分子スイッチの機能構造特性と細胞内分子動態
Project/Area Number |
14380330
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片山 勉 九州大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (70264059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁木 宏典 国立遺伝学研究所, 放射線アイソトープセンター, 助教授 (70208122)
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Keywords | DNA複製 / 細胞周期 / DnaAタンパク質 / 大腸菌 / DNAポリメラーゼ / AAA^+ファミリー / ATP / 抗菌剤 |
Research Abstract |
染色体複製には、1細胞周期において、特異的な時期に、ただ1回だけ起こるという原則がある。最近、大腸菌染色体DNA複製の制御機構には、新規タンパク質Hdaが直接必要とされることを見出した(EMBO J.,2001)。Hdaタンパク質は、複製開始因子DnaAと相互作用し、DnaA結合性ATPの加水分解を進め、ADP結合型DnaAタンパク質を産生する。この際、Hdaタンパク質は、DNAポリメラーゼIIIβサブユニットと複合体を形成し、この複合体がDnaA結合性ATPの加水分解を進めると思われる。そこで本計画では、細胞周期におけるHda機能制御の分子機構を攻究することを第1の目的とした。また、複製開始スイッチをONにする分子機構解析のため、DnaA活性化システムの解明を第2の目的としている。研究実施計画に沿って、初年度は、まず、Hdaタンパク質の機能構造解析を進めた。その結果、Hdaタンパク質は、βサブユニット相互作用ドメイン(βドメイン)とATP加水分解制御ドメイン(AAA^+ドメイン)の2つのドメインからなることが判明した。本年度は、βドメインのうち、βサブユニット相互作用に直接関わると思われるアミノ酸残基を同定した。さらに、AAA^+ドメインのうち、DnaA結合性ATPの加水分解に必要な残基も明らかにした。ADP結合型DnaAタンパク質は、複製開始能不活性型であるので、過剰な複製開始反応を抑制する機能があるが、細胞周期中、次の複製開始時にはATP結合型に変換される必要がある。すでに、初年度に、試験管内解析によってこのようなDnaA再活性化を促す因子を同定し、さらに、細胞内でも、ADP結合型DnaAをATP型に変換する機能があることを見出した。本年度は、この因子の機能構造相関解析、染色体複製サイクル制御における役割を解析した。以上の成果により、DnaA機能の制御スイッチとなる因子の機能構造特性がより明らかになってきた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Su'etsug, M.et al.: "Transcriptional control for initiation of chromosomal replication in Escherichia coli : fluctuation of the level of origin transcription ensures timely initiation"Genes Cells. 8(9). 731-745 (2003)
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[Publications] Fujikawa, N.et al.: "Structural basis of replication origin recognition by the DnaA protein"Nucleic Acid Res.. 31(8). 2077-2086 (2003)
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[Publications] Yoshida, Y.et al.: "Identification of the region of Escherichia coli DnaA protein required for specific recognition of the DnaA box"Cell.Mol.Life Sci.. 60(9). 1998-2008 (2003)
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[Publications] Higuchi, K.et al.: "Fate of DNA replication fork encountering a single DNA lesion during oriC plasmid DNA replication in vitro"Genes Cells. 8(5). 437-449 (2003)
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[Publications] 片山 勉: "細菌染色体の複製制御機構"薬学研究の進歩. 19. 19-28 (2003)
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[Publications] 片山 勉, 他: "ゲノミクスとプロテオミクスの新展開〜生物情報の解析と応用〜"(株)エヌ・ティー・エス(印刷中). (2004)