2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞運命決定転換におけるNotchシグナリングの新しい機能
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14380343
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
倉田 祥一朗 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (90221944)
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Keywords | 細胞運命決定 / Notchシグナリング / 決定転換 |
Research Abstract |
器官のアイデンティティーがどのようにして決まるのかという問題は、発生生物学の重要な問題の一つである。これまでに、Notchシグナリングを活性化することにより、ショウジョウバエの複眼を翅、触角、肢へと改変できることを見出した。本研究の目的は、この系を用いて、細胞運命の決定転換におけるNotchシグナリングの新しい機能を明らかにすることである。 これまでに、当初の計画通りおおよそ1万系統の機能獲得型変異体の解析を終了した。その結果、複眼が翅に変換する系統を3系統、複眼が触角に変換する系統を23系統、複眼が肢に変換する系統を11系統同定した。そのうちの1系統では、新規BAHドメインタンパク質の過剰発現により、複眼が翅に改変することを見いだした。BAHドメインを有するタンパク質は、クロマチンのリモデリングに関わるものがあることから、器官アイデンティティーの決定とクロマチンのリモデリングの関係が示唆された。さらに、その際、翅の決定に重要なvg遺伝子の翅特異的エンハンサーが異所的に活性化することがわかり、このBAHドメインタンパク質はvgの上位で翅のアイデンティティーの決定に関与していると考えられた。このBAHドメインタンパク質の過剰発現で誘導される翅は、背腹軸と前後軸を有するほぼ完全な翅であるのに対して、vgの異所的発現により誘導される翅は、背腹軸と前後軸を有さないポール状の構造を示す。このことから、BAHドメインタンパク質は、より上位で軸形成を含む翅形成プログラム全般の遂行を制御していると考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kurata, S.: "Recognition of infectious non-self and activation of immune responses by Peptidoglycan Recognition Protein (PGRP)-family members in Drosophila"Dev.Comp.Immunol.. 28. 89-95 (2004)
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[Publications] Yajima, M., Takada, M., Takahashi, N., Kikuchi, H., Natori, S., Oshima, Y., Kurata, S: "A newly established in vitro culture using transgenic Drosophila revealed functional coupling between the phospholipase A2-generated fatty acid cascade and lipopolysaccharide-dependent activation of the imd pathway in insect immunity"Biochem.J.. 371. 205-210 (2003)