2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14380352
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
寺島 俊雄 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20101892)
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Keywords | リーラーマウス / ヨタリマウス / 皮質脊髄路 / 皮質視床路 / 大脳新皮質 / リーリン / Dab1 / 層構造 |
Research Abstract |
Dab1欠損マウス(ヨタリマウス)の脳の細胞構築異常は、リーリン欠損マウス(リーラーマウス)の細胞構築異常と同じであるとされている。実際、Dab1はリーリンの下流に位置し、その直接的な制御を受ける。しかしリーリンはリポプロテイン受容体やカドヘリン関連神経受容体とも結合することが知られており、ヨタリとリーラーのフェノタイプが同一ではない可能性がある。本研究は、大脳皮質の層特異的神経結合の観点からリーラー、ヨタリの大脳皮質細胞構築異常を詳細に調べることを目的とした。 皮質視床路ニューロンを逆行性に標識することを目的として、正常マウス、リーラー、ヨタリの視床外側腹側核にWGA-HRPを注入した。また皮質脊髄路ニューロンを逆行性に標識することを目的として上記動物の腰髄にfree HRPを注入した。注入48時間後に、パラフォルムアルデヒドとグルタールアルデヒドの混合液で灌流後、40μmの完全連続切片を作成し、TMBを用いてPeroxidase組織化学を行った。逆行性に標識された皮質視床路ニューロンは、正常マウスでは皮質第6層に分布したが、リーラー、ヨタリともに皮質の最表層の多形細胞層に限局して分布した。一方、逆行性に標識された皮質脊髄路ニューロンは、正常マウスでは皮質第5層に限局して分布するが、リーラーでは皮質全層に、ヨタリでは皮質表層1/3に限局して分布した。皮質内分布について統計学的に検討した結果、リーラーとヨタリ間において、皮質脊髄路ニューロンの分布に有意の差を認めたが、皮質視床路ニューロンの分布については有意の差を認めなかった。 以上より、本年度は皮質第5層ニューロンの皮質内分布がリーラーとヨタリ間で異なることを証明した。リーラーとヨタリのフェノタイプが異なることより、リーリンタンパクとDab1タンパクは必ずしも線型関係ではないことが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Aoki T: "Abnormal distributions of callosal commissural and corticothalamic neurons in the cerebral neocortex of Shaking rat Kawasaki"Neuroscience. 114(2). 295-297 (2002)
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[Publications] Ohkubo N: "Apolipoprotein-E and reelin ligands mediate tau phosphorylation through apolipoprotein-E receptor/Disabled-1/glycogen synthase"FASEB Journal. 296. 295-297 (2003)
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[Publications] Yamamoto T: "Ectopic corticospinal track and corticothalamic tract neurons in the cerebral cortex of the yotari and reeler mice,"Journal of Comparative Neurology. (印刷中).
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[Publications] Sakakibara S: "The Role of Reelin in the Formation of Laminar Organization of the Superior Colliculus"Developmental Brain Research. (印刷中).
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[Publications] 青木岳也: "リーリンシグナル伝達系とアルツハイマー病との関連性"脳と精神の医学. 13(4). 411-417 (2002)
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[Publications] 寺島俊雄: "Shaking rat Kawasakiにおける運動失調とその解剖学的基盤"CLINICAL NEUROSCIENCE. 21(2). 168-170 (2003)