2002 Fiscal Year Annual Research Report
網膜双極細胞終末部の形質膜近傍におけるシナプス小胞とCaイオンの動態解析
Project/Area Number |
14380375
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
立花 政夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (60132734)
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Keywords | 網膜 / 双極細胞 / 伝達物質放出 / Caイオン / シナプス / Caチャネル / Caイメージング |
Research Abstract |
神経細胞からの化学伝達物質の放出には速い成分と遅い成分があり、それぞれシナプス小胞のプールサイズや放出確率が異なっていると考えられている。シナプス小胞の動態はシナプス伝達の促進や抑制といった可塑的変化に関連しており、伝達物質の放出・調節機構の分子基盤を明らかにする上でも詳細な解析が必要である。本研究は、近接場光顕微鏡を用いて膜直下におけるCa蛍光指示薬の強度変化を高速イメージングすることによって、軸索終末部におけるCaチャネルの開閉に伴う細胞内Caイオンの動態、および、開口放出とエンドサイトーシスにおけるシナプス小胞の動態を明らかにすることである。本年度は、膜近傍のCaイオン動態に的を絞って実験を行った。キンギョ網膜から単離したオン型双極細胞をパッチ電極で膜電位固定してCa電流を計測すると共に、パッチ電極からCa蛍光指示薬を導入して軸索終末部の膜近傍(<150nm)におけるCa動態を近接場光顕微鏡と高速イメージング装置(時間分解能約3ms)を組み合わせて観察した。その結果、Ca電流を短時間(約5ms)活性化させると、培養用ディッシュのガラス面に張り付いた軸索終末部に複数の明るいスポットが瞬時に生じた。これらのスポットは、Ca電流をCoイオンで阻害すると消失したことから、Caチャネルのクラスターを介して流入したCaイオンによって生じていることが明らかになった。このCaスポットの密度は1平方pmあたり約0.1個であり、また、最も隣接したスポット間の平均距離は約2.5μmであった。これらの値は、キンギョ網膜のオン型双極細胞軸索終末部を超薄連続切片法で電子顕微鏡観察し、シナプスリボンの密度および最も隣接したリボン間の距離を計測した値にほぼ一致した。したがって、これらのCaチャネルのクラスターはシナプスリボン周辺に存在していることが推測される。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Berglund, K., Midorikawa, M., Tachibana, M.: "Increase in the pool size of releasable synaptic vesicles by the activation of protein kinas C in goldfish retinal bipolar cells"Journal of Neuroscience. 22(12). 4776-4785 (2002)